危機に瀕する日本の社会・経済の持続可能性。今こそ構造的課題の議論を加速させる仕組みが必要だ。
自民党の裏金問題は、全容解明には程遠く、衆議院政治倫理審査会における岸田文雄首相や安倍派幹部の説明は、むしろ新たな疑問を招いた。報道各社の世論調査でも内閣、自民党の支持率はいずれも記録的な低水準だ。
公明党の幹部が、衆議院の解散・総選挙は秋以降になるだろうと発言したことも、波紋を広げている。この発言は、9月の自民党総裁選挙で新総裁を決めたうえで総選挙を行ってほしいと公明党が望んでいることを意味し、岸田首相に対する退場勧告に等しい。
しかし、当の岸田首相からは危機感が感じられない。今の自民党には、不人気な首相退任を迫る挑戦者が存在しない。野党も分立状態で、自民党に代わって政権を担う気概が見えてこない。
何より岸田政権を支えているのは、経済情勢である。年明けから株価の上昇が続き、日経平均株価は初めて4万円を突破した。春闘による賃上げも、組合要求に満額で答える企業が続出している。「失われた30年は終わった」と宣言した岸田氏は、幸運な巡り合わせが自らの権力を支えている、とでも楽観しているように思われる。
60代以上の中には、株価がバブル期を超えたことで好況の幻影を喜んでいる者もいるかもしれない。
名目GDPは世界4位に転落
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