岸田首相は「歴史的大転換期」の指導者か。民意は厳しい。国民が変革を望めば、政権交代の可能性もある。
30年前の1993年8月、自民党が結党後初めて野党に転落した。「この時代は後世、国民が主権を行使した平成デモクラシーの時代と呼ばれるのでは」と、今年3月刊行の『官邸官僚が本音で語る権力の使い方』(新潮新書)で、4著者の一人の兼原信克氏(元内閣官房副長官補)が説いている。戦前の「大正デモクラシー」と並ぶ画期的な「デモクラシーの時代」という見立てのようだ。
「平成デモクラシー」激動の19年
「平成デモクラシー」は93年から2012年までの19年間で、実に4回の政権交代を促した。93年の非自民8党派連立による細川護煕内閣発足、94年の自民党・社会党・新党さきがけの3党連立による自民党の政権奪回、09年の民主党の政権奪取と自民党の野党再転落、12年の自民党の与党復帰と民主党政権崩壊だ。うち3回が国民主権行使、つまり衆院選での有権者の1票に基づく政権交代だった。
政権交代が起こるのは激動と不安定の時代、政権交代がない政治は安全運転と安定の時代となりがちだ。21年9月、自民党総裁選で岸田文雄首相の誕生が確定した翌日、安倍晋三元首相にインタビューした。決選投票で岸田氏支持を決めた理由を尋ねたら、「それは安定」と言い放った。
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