村上総務相が看破する「地方創生」と「金権政治」に潜む根本問題 9000字ロングインタビュー【中編】

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――人材育成が最も大きなテーマというわけですね。

そうです。そして地方創生には、そうした人材を活用できる生産基盤を地方に作ることが重要です。

行政改革、規制改革、地域再生等の担当大臣をやったときに、それぞれの地域には「宝物」があると実感しました。それを自分たちで見つけ出し、引き出して活用しているところは発展しています。

地方創生は中央から指示されるものではなく、自主・自立・自考でやっていかなくてはいけません。それぞれの地域のリーダーが宝物を発見し、何が宝物なのかを認識しなければいけません。

もちろん地域差が出てきます。それは、いかに住民のためになっているかという競争によって解消すればいいでしょう。

そのためには地方の行政システムも変える必要があるかもしれません。現在の市町村の数は1700以上ありますが、50~60年先の中長期スパンで見て、今世紀末の人口が急減した場合には、これを維持するのはますます困難になるでしょうから、今のシステムを再編するということも一案かもしれません。意思決定過程が簡潔になれば、住民意思が行政に反映しやすくなります。

「令和の日本列島改造」は、これまでのようなインフラの拡張ではありません。国民の1人ひとりがいかにその能力を生かし、自分らしく生きることができるのか。そのために政治は単にカネをばらまくのではなく、長期の観点で本当の豊かさとは何なのかを考えていくべきではないでしょうか。

郵政選挙が自民党の空気を変えた

――安倍派(清和政策研究会)の裏金問題の発覚により派閥が解消され、自民党の構造が大きく変わろうとしています。村上大臣は清和会支配の自民党で、ひとり反骨を貫いてきたというイメージがあります。長年自民党を支配してきた清和会の体質について、どのようにお考えですか。

小泉純一郎政権は郵政改革や道路公団改革などこれまで頑強な既得権益だったところにメスを入れ、「聖域なき改革」に勤しみました。私も規制改革・産業再生機構担当相として、混合診療や中医協(中央社会保険医療協議会)の改革などに携わりました。

一般的には小選挙区導入によって党本部の力が強化されたと言われますが、1つの契機は2005年の郵政選挙であったかもしれません。私は最後まで反対でしたが、小泉純一郎首相(当時)は反対派を公認しないばかりか、さらに反対派候補のいる選挙区に刺客を送ったのです。その結果、自民党が持っていた自由闊達な議論の空気が弱くなったような印象があります。

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