ネット上に情報もたくさん、いったい何が正しいのかわからない…《悩む受験生たち》に東大に合格した僕が伝えたいこと

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例えば、悩まずに直感で考えて「理系かな」と考えた人がいたとします。その人がいろいろ考えて、悩んだ結果、「やっぱりいろいろ考えたけど、理系にしよう」と決めたとします。

このとき、結果だけを見れば、悩む前と悩んだ後で結果が変わっていませんから、悩んだ時間が無駄だったのではないかと考えてしまう人も多いでしょう。でも、だからといってこれは「無駄」ではありません。悩んだからこそ、後から「やっぱり文系を選ぶべきだったんじゃないか」と悩む時間は減るはずです。「あのとき、しっかり悩んで理系を選んだんだから、自分は理系として頑張ろう」と覚悟を持つことができるはずです。

自分の中でしっかり考えたからこそ「自分の答え」を出すことができ、その問題について悩まなくなるのです。逆に、あまり悩まずに「親が言うから」「先生が言うから」という理由で考えてしまう人は、どこかで自分の価値観と合わない部分が出てきて、悩んでしまいます。

何事も「効率よく」「タイパよく」は正しいのか

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目的地に到達するためには、最短距離で行くこともできますが、それは万歩計で測ったら、その道のりを行くまでの歩数としては少ないですよね。

それに対して、悩んで迷って、歩き回った結果として目的地に到達したとすると、時間はかかっているかもしれませんが、万歩計で測ったらたくさん歩いている分だけ歩数も増えると思います。

これと同じように、コスパ・タイパだけを考えれば「悩む」というのは無駄な時間だと思われがちですが、しかし悩んでいるからこそ、正解に辿り着けるということもあるのだと思います。

「音読はいい勉強法だと言えるのか、自分に合っていると考えられるのか」というのも、悩めばいいのです。悩んで、いろんな人から話を聞いて、そのうえで、自分で判断すればいいのです。悩まず答えを決めることもできますが、悩むからこそ得られるものもあるのではないかと思います。

僕も、いろんなことに悩みながらここにいます。偏差値35から2浪までして、悩んだり凹んだりしながら、成長した記憶があります。あのとき悩んでいなければ、おそらく東大にも合格できていなかっただろうし、成長もなかったんだと思います。

今の時代、何事も「効率よく」「タイパよく」進めることが正解という価値観があります。でも、本当に大切なことは、簡単に答えを出すことではなく、むしろ悩むという遠回りに見える時間を大事にすることで、自分の中での「基準」を考えていくことなのかもしれません。

悩む時間は、決して「無駄」じゃない。むしろ、自分の人生を豊かにするための「投資」なのかもしれない。そんな感覚を持っていただけたら幸いです。

西岡 壱誠 ドラゴン桜2編集担当

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にしおか いっせい / Issei Nishioka

1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「独学術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。

そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。また、YouTubeチャンネル「スマホ学園」を運営、約1万人の登録者に勉強の楽しさを伝えている。

著書『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大独学』(いずれも東洋経済新報社)はシリーズ累計40万部のベストセラーになった。

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