「中国は決して譲歩しない」トランプ関税で激化する米中対立 4月27日に自民党・森山幹事長訪中であらためて問われる日本の針路

アメリカのトランプ大統領が高率関税を次々と発動し、自由貿易体制を主導してきたアメリカの姿は大きく転換した。とりわけ中国に対する関税攻勢が強まり、米中対立は貿易にとどまらず、安全保障にも拡大しそうだ。
アメリカを唯一の同盟国とする一方で、中国との貿易に依存する日本には難問が突き付けられている。石破茂首相は日本への関税の見直しを求めるとともに米中対立の中で日本が生き抜く策を見出さなければならない。中国・上海で聞いた国際政治学者の見解を交えて、日本の針路を考えてみたい。
アメリカの製造業が復活する見通しは立たず
トランプ大統領はこれまで鉄鋼・アルミ製品に25%、自動車に25%、各国一律に10%という関税を発動。さらに各国別の相互関税(日本は24%)を課すと発表したが、発動直後に90日間延長することを決めた。
世界の貿易ルールでは、勝手に関税を設定することは制限されているが、トランプ政権はアメリカの国際緊急経済権限法や通商拡大法といった国内法の安全保障にかかわる規定に基づいた課税だと説明している。
一連の関税の目的について、トランプ氏はこう主張する。①外国企業がアメリカに製品を輸出しアメリカの製造業が弱体化した、②アメリカの労働者が職を失い、工場が閉鎖に追い込まれた、③アメリカの貿易赤字は拡大し、ドル高も続いて輸出が停滞した、④関税によって貿易赤字を減らし、工場をアメリカに戻す――。
しかし、関税によって自動車や半導体などアメリカの製造業が復活する見通しは立たない。日本や欧州などの大企業がアメリカに工場を移すとしても、4~5年はかかる。アメリカ国内に高度な技術を持つ労働者が多くいるわけではないから、工場が移転したとしても質の高い製品が作れるとは限らない。
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