「中国は決して譲歩しない」トランプ関税で激化する米中対立 4月27日に自民党・森山幹事長訪中であらためて問われる日本の針路

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トランプ政権にはウォール街でのビジネス経験が豊富な閣僚や高官がいて、こうした経済事情には通じている。だから、関税による製造業の復活は容易ではないことは知っているだろう。むしろこの関税政策は、トランプ氏が大統領選で支持された白人の労働者層に向けた「政治的アピール」という意味合いが強い。

さらに中国製品などに対する高関税は、アメリカ経済をインフレに向けていくだろう。それが有権者の反発を受けることは必至だ。インフレを抑えるにはFRB(連邦準備制度理事会)が利上げに踏み切らなければならないが、トランプ大統領は景気を上向かせるために利下げを求めており、金融政策をめぐる葛藤が続く。トランプ大統領が高関税でめざす「自国第一主義」が繁栄につながらないという皮肉な構図が見えてくる。

中国の研究者の見解は?

そうしたアメリカの状況を冷静に観察、分析しているのが中国だ。トランプ大統領が仕掛けた対中関税に対して中国も報復。中国からの対米輸出には145%、アメリカからの対中輸出には125%という異例の高率関税が課せられている。中国で生産されたEV(電気自動車)の対米輸出はほぼ不可能となり、アメリカ産のトウモロコシや大豆の対中輸出は、ブラジル産やカナダ産に取って代わられることになるだろう。

それでも中国側は「アメリカが高関税を続けるなら、地獄まで付き合う」(中国外務省報道官)との構えだ。中国への高い関税がアメリカ経済にダメージを与え、株価の下落が続いたことを受けて、トランプ氏は「対中関税は大幅に下がるだろう」とも発言しているが、具体的な妥協の道筋は示していない。

私は4月中旬、中国・上海の復旦大学を訪問。「日本政治と日中関係」をテーマに講演した後、米中関係研究者の第一人者である同大学国際問題研究院長の呉心伯教授にインタビューした。

トランプ氏の関税攻勢について、呉院長は「もし中国が譲歩すれば、トランプ氏はさらに攻め込んでくるだろう。『欲張りなスタイル』なので、中国は決して譲歩しない」と指摘した。

そうした中で問われているのが、日本の対米交渉の力量だ。

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