「中国は決して譲歩しない」トランプ関税で激化する米中対立 4月27日に自民党・森山幹事長訪中であらためて問われる日本の針路

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アメリカ側の要求に対し、日本側は石破首相や林芳正官房長官らと自民党の森山裕幹事長らが連日、協議を重ねている。

その中では「トランプ政権の要求は無理筋が多い。いずれトランプ政権内の混迷が深まり、高関税の要求自体が頓挫する可能性もある」「農産物や自動車などの市場開放で拙速な譲歩は避けるべきだ」といった反応が出ている。当面はトランプ政権の動向を見極めようという構えだ。

中国から相次ぐ「共闘」を求める声

一方で、中国からはトランプ政権に対抗するために日本との「共闘」を求める声が相次いでいる。4月27日には森山幹事長を団長とする与野党の国会議員が訪中する。

中国側はトランプ政権の関税政策に対して「自由貿易の原則に反する」と批判。森山氏にも同調を求めるとともに、日中の経済交流を進めようと持ち掛けるだろう。先述の呉教授は、日本との関係について「『トランプショック』という背景の中で、日本と中国は経済と貿易の強化、さらには地域経済の一体化の推進に注力すべきだ」と述べている。

さらに、アメリカが東アジアから撤退するかどうかという問いに対して呉教授は「トランプ政権内で意見が分かれている。アメリカは欧州から撤退して東アジアに集中すべきだという意見と、アメリカの周辺に集中すべきだという意見だ。現段階ではどちらが主流になるかは分からないが、長期的にはアメリカの影響力が東アジアから撤退していくことが予想される」と分析していた。

自由貿易の旗を振り、圧倒的な軍事力をテコに世界の安全保障を仕切ってきたアメリカが、その役割を大きく変えようとしている。同盟国にも高関税を課し、東アジアからの撤退も取りざたされるという前代未聞の事態である。

アメリカに付き従ってきた日本は、どのような将来展望を描くのか。石破首相は、歴代の首相も経験したことがない重い課題を背負っている。

星 浩 政治ジャーナリスト

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ほし ひろし / Hiroshi Hoshi

1955年生まれ。東京大学教養学部卒業。朝日新聞社入社。ワシントン特派員、政治部デスクを経て政治担当編集委員、東京大学特任教授、朝日新聞オピニオン編集長・論説主幹代理。2013年4月から朝日新聞特別編集委員。2016年3月からフリー。同年3月28日からTBS系の報道番組「NEWS23」のメインキャスター・コメンテーターを務める。著書多数。『官房長官 側近の政治学』(朝日選書、2014年)、『絶対に知っておくべき日本と日本人の10大問題』(三笠書房、2011年)、『安倍政権の日本』(朝日新書、2006年)、『自民党幹事長』(ちくま新書)など。

 

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