シンガポールからカーストの国インドへ--在インド中小企業経営者・小和田宏明氏に聞く
--個人資産を全部出したんですか?
まあ、カッコよくいえばそうなんだけどね(笑)。当時の関係者に会うと、本当に上手く逃げたと言われるんですよ(笑)。
--それで、新天地を求めてインドに来たということですね。
で、日系企業向けに現地紙の記事を日本語訳を提供する「日刊インドビジネス」をはじめることにしました。
--なるほど、インドに来て、また学生時代の経験と繋がったわけですね。長いシンガポール生活の後、不便なインドに来てどうですか?
シンガポール時代の35年は、嫌な思いをすることはなかったです。毎日楽しかったですよ。それに比べるとインドは大変です。インドでの15年は、シンガポールでの35年を超えるものがあります。
やっぱり一番堪えるのは、小さなトラブルが毎日のように起きることです。大きなことじゃない。パソコン開けても起動しないとか、コンセントをガチャガチャやってたら「あ、電気がきた」とか、顔を洗おうと思って蛇口ひねったら「水が出ない」とか、駐在員の奥様方なんかは、まずこれで頭にきちゃうんです。
会社に電話したりして、修理屋に頼んでも、時間通りにはまずこないし、逆に悪くなったり、そういう次元の低いことで皆さん大体、まいってしまいます。奥様方は大変ですよ。
--いいところは?
いいところは、人をたくさん使えることですね。サーバントの使い方は重要です。向こうもこちらを見ています。隙あらばなんかもらおうと思っていますから。向こうから声をかけようとしてくるということはまずしません。それは失礼なことですから。インド人同士会うと、どの程度のランクの人かわかるんですね。まだまだ、カーストの国です。