シンガポールからカーストの国インドへ--在インド中小企業経営者・小和田宏明氏に聞く
シンガポール在住35年の後、1998年にインドに移住、インド進出企業向けに現地紙の翻訳記事などを提供するNikkan India Business Pvt. Ltdを立ち上げ、デリーでの生活も15年近くなる小和田宏明氏。
飄々としたたたずまい、行動的なコスモポリタン、というユニークな二面性。海外在住50年という達人ながら、親しみやすい小和田氏のまわりには自然と人が集まる。「押し付けられたグローバル化」に辟易している日本の若いビジネスマンにとって、海外で自由にビジネスを行う同氏から学べる本質は多い。
デリー小和田宏明氏自宅にて、株式会社ネクストマーケット・リサーチの須貝信一氏が取材した。
--まず、シンガポールにいた35年そうですが、まずはそこからお伺いします。
中央大学を卒業後、造船会社に就職しました。一応、新人研修した後、経理にまわされて、毎日ソロバンで面白くなかったんです。早く1日が終わらないかと思っていました。それが人生で1カ月だけやったサラリーマンの感想です。つまらないので一カ月で辞めました(笑)。大学教授から推薦をもらって、シンガポール大学にいくことができたんです。
--そしてシンガポール大学に留学したと。1963年というのは早いですね。
今はシンガポールというと、格好いいイメージすらありますが、当時の英領だった頃のシンガポールは、貧しい国でしたし、まだバンコクのほうが進んでいたんですよ。今のインドみたいなところでした。物乞いもたくさんいたし、みんな貧しかったですよ。リー・クワン・ユーの時代より前の話です。でも、みんな貧乏でしたが、暖かい場所なので悲惨な感じはなかったですね。