シンガポールからカーストの国インドへ--在インド中小企業経営者・小和田宏明氏に聞く
--「インド人は他のインド人のレベル、カーストを一瞬で見抜く」、「本能的にわかる」とインド人から聞きました。
私も長くいるので大体わかります。で、やはり下のカーストだと理解力が低いです。最近は「低カーストの留保制度(一定の比率で低カーストを雇用、入学、政治参加させる制度)」で役所などでも増えていますが、「今までその日その日を生きてきた人」に、「世界を語れ」と言っても無理です。
上のカーストの人は、生まれた時から下のカーストを使う訓練を受けているので、やはりそういうことに慣れている。マネージメントも日本式のボトムアップよりも、トップダウンで管理するほうが上手くいくことが多いと思います。
--日系企業でも商社と製造業ではカーストに対する考え方が全く違います。商社の場合は、カーストに気をつけるべきだ。という考え方がずっと続いています。製造業ではそういう会社は少ない。
だから、あまり成功しないんです(笑)。
--最近、労働争議などで解雇時の退職金などが話題になっています。
私もいろんなサーバントをクビにしてきました。辞めてもらうときは2~3カ月分の給料をあげる。そうすると相手はびっくりして文句いえないわけです。僅かな金額です。
この辺の運転手も1万ルピーも貰ってないですから安いです。私なんかは次の就職口も、いろいろ探して上げたりしますけどね。生きて行かなくちゃいけないわけですから。彼らにとって働く理由とは「飯を喰う為」であって、「会社のため」ではありません。
日本人は経済成長してつながりがあまりなくても生きていけるけど、インドはつながりがないと生きていけないんですよ。日本人の多くが「カーストはもう古い」といったりしますが、そういうことではありません。