週刊東洋経済 最新号を読む(5/23号)
東洋経済オンラインとは
キャリア・教育 #会社から逃げる勇気

「会社から逃げた」大手メーカー課長。次の仕事に選んだのは”ブルーベリー農家” なぜ”イチゴ農家”じゃなかったのか?

7分で読める
  • 畔柳 茂樹 農業起業家 観光農園「ブルーベリーファームおかざき」代表
2/5 PAGES

この農業大学校はある意味で期待通りだった。

そもそも行政の運営する学校で、講師も公務員ということで、一生懸命教えてはくれるものの、限界がある。作物の栽培法は教えてくれるが、趣味で農業をするわけではないので、いかにお金に換えていくか、どのように売るか、ビジネスモデルはどう作るかという肝心なものは、まったく講義の中になかった。

「期待通り」と書いたように、これについては多分そうなるのではないかと予想していたので、特別がっかりするわけではないが、やっぱりそうだったかという印象だ。

何を栽培して、どう売っていくのかというビジネスモデルは自分で作り上げると覚悟した。

農業は「労働基準法」適応外?

会社を辞めた経緯からもわかるように、私の起業の目的は、「お金」ではなく、「自由」であり「自分らしく生きる」ことだ。しかしながら、たまたま好きでやりたかった仕事が農業だった。

農業といえば、基本的に長時間労働が当たり前で、3K職場(キツイ、汚い、危険)の代表格で、ブラック産業といえる。

労働者を守る法律として労働時間や休日を定めた「労働基準法」があるが、農業は適用外産業になっている。自然や作物が相手なので、季節的な繁忙期と閑散期がハッキリしているため、適用外になっているとのことだが、これでは生産性を高めることは難しいのではないか。

既存の農業の模倣ではなく、新しい形の農業を生み出すことが必要だった。しかも短い労働時間で最大の成果を出せるような効率的な農業にすることが、農業に取り組む至上命題だった。

退社するまで多忙を極め事前準備もままならなかったが、そんな中で読んだ1冊の本が今後進んでいく方向性に大きな影響を与えた。それは杉山経昌氏著『農で起業する!』(2005年・築地書館出版)だ。

杉山氏は外資系企業の部長職だったが、ストレスまみれの生活から脱却して、宮崎に移住し新規就農した。サラリーマンから逃げ出し、ゆとりを求めて脱サラ農起業したところが私とまったく同じで大いに共感したからこそ、この本は私にとってバイブルのような存在だった。

この本の概要は、新規就農してしばらくは試行錯誤の連続で、営農計画を立てシミュレーションしながら慣行農業、有機農業など、さまざまな農業に挑戦するも、長時間労働のうえに利益がほとんど上がらないという農業の厳しさを経験する。

そして、後にぶどう農家にたどり着き、1年目は農協経由で卸したら、想定価格をはるかに下回る価格でこれも失敗。これではダメだということで2年目から自分で売るという観光農園スタイルに変更。

これが軌道に乗り、小さいながらも効率の良い農業経営が可能になり、週休4日も達成した。

次ページが続きます

3/5 PAGES
4/5 PAGES
5/5 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

キャリア・教育

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象