児童書ベストセラー作家が語る「苦手があるのは、伸びしろがあるということ」、親の小言より読書のススメ。「なんでも魔女商会」おすすめ4冊

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『なんでも魔女商会』シリーズ
あんびるやすこさんが手がけた「なんでも魔女商会」シリーズ(画像:岩崎書店)
代表作「ルルとララ」「なんでも魔女商会」「魔法の庭ものがたり」などのシリーズで、子どもたちの心をつかんできた絵本作家・児童書作家のあんびるやすこさん。
「ルルとララ」シリーズが今年20周年になるのに合わせ、あんびるさんの記事を4回にわたって掲載しています。
3回目の今回は代表作の一つ「なんでも魔女商会」シリーズについて。
児童書「なんでも魔女商会」は、ちょっとクセのあるリフォーム支店の魔女と召使い猫、その店にやってきた人間の女の子を中心に描かれた作品。最新刊の『ナナのバッグのメタモルフォーゼ』まで29巻が発表されています。
各巻で登場するのは、それぞれ苦手や悩みを持っている人々。あんびるさんは、誰にでもある苦手との向き合い方を丁寧に描き、物語の世界へと引き込んでいきます。困難を乗り越えるために必要なのは、親のお説教ではなく、自分から克服したいと思えるきっかけ。
あんびるさんのお話とともに、人見知りの子、コンプレックスを持っている子、決めたことが変えられない子……、そんなお子さんにおすすめの作品を紹介します。
1回目:20周年の「ルルとララ」、人気作家あんびるやすこさん「親が買い渋るものより、親子で買いたくなる児童書を」。シニアにもおすすめの理由
2回目:累計380万部、20年続く児童書「なんでも魔女商会」「ルルとララ」ができるまで。子どもたちを夢中にさせる児童書とは?
3回目:本記事
4回目:「もしルルとララが新宿でスナックを始めたら?」、作者・あんびるやすこさんが妄想する「大人になった」主人公の物語

失敗やつらさを体験することは"伸びしろ"

私がはじめて書いた児童書は、「なんでも魔女商会」です。手芸を切り口に、子どもたちに読了してもらえるものを作りたいと思って書いたものです。

子どもに興味を持ち続けてもらうには、登場人物に共感できることが重要です。たとえば何か失敗をしたり、友達をつくるのがうまくいかなかったり、何かしらの苦手意識は誰にでもあるもの。

子どもたちが“自分もそうだな”と感じられるテーマを選んでいます。実際に感じているであろうその失敗や辛さ、モヤモヤと言葉にできないような気持ちこそが、実は成長の伸びしろになっていくと思うんです。

親から「~しなさい」と言われて従うのではなく、自分自身で苦手に対する見方を変えられるのが一番いいですよね。

作中では困難を乗り越えて成長するエピソードを描いていますが、不自然で無理やり感があるものでないように気を付けています。ストーリーの中でだんだんと主人公たちの気持ちが変わっていかないと、読者は心から共感できないし、同じように成長ができないんです。

物語を最後まで読んでもらうことも、大切にしていることです。読了することで、伝えたかったテーマを受け取ることができます。

好きな本に何冊も出会えれば、本を読む習慣が生まれてきます。もちろん、小学生でよく本を読んだからといって、中学に行ってもずっと読んでいるとは限りません。

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