専門医が30年以上を費やしてたどりついた…「沈黙の臓器=腎臓」を守る簡単【ウォーキング法】
むしろ、症状をはっきりと自覚できるころには、慢性腎臓病がかなり進行しているとも言い換えられるでしょう。早期発見するためには尿検査による尿たんぱくや尿潜血、血液検査によるクレアチニンの濃度などが指標となります。
また、一般の方でも「推算糸球体ろ過量(eGFR)年齢別早見表」を活用すれば、腎臓の糸球体ろ過量(GER)を推定できるので、おおよそ慢性腎臓病の疑いがあるかどうかを判断できます。
しかし、もっと理想的なことをいえば、重要なのはそもそも腎臓病自体を発症させないことではないでしょうか。誰だって病気にはなりたくないし、痛い思いもしたくないですよね。
「そんなニーズに応えたい」
「腎臓のために今すぐにでもできることはないのだろうか」
そんな思いが発端となって開発された画期的なプログラムこそが、本稿で取り上げる「いきいきウォーキング」などの腎臓リハビリメソッド(運動療法)を中心とした"腎臓リハビリテーション"です。
私は30年以上の歳月を費やして腎臓の研究と臨床に取り組んできました。さまざまな紆余曲折を経ながら、そして少しの偶然の産物を賜ったおかげでたどり着けたのが、ほかの何物でもない腎臓リハビリメソッドのノウハウです。
腎臓リハビリにおける運動療法の研究結果を初めて講演したのが2000年のこと――今までの概念を大きく覆すものだったので、当時は否定的な意見も少なくありませんでした。しかし、それを上回るほどに国際的な称賛を浴び、確固たる有意なものとして腎臓リハビリメソッドは世界に広がっていくことになったのです。
私たちが中心となって発足した日本腎臓リハビリテーション学会は、腎臓リハビリにおける世界初の学術団体であり、今でも世界を先導していく立場にあります。
リハビリと聞くと、病後に取り組むイメージが強いかもしれませんが、腎臓リハビリはその限りではありません。腎機能の回復や維持、腎臓病予防の観点からも非常に効果的であり、「クレアチニン値が下がった!」「尿たんぱくが減った!」「人工透析を回避できた!」など、多くの事例によって、その有用性が実証されています。
「腎臓リハビリメソッド」を始める前の注意点
腎臓リハビリの運動療法は、慢性腎臓病の患者さんや人工透析を受けている患者さんでも安全に取り組めるものですが、病院では医師や看護師、理学療法士、作業療法士といった医療従事者のもとで、しっかりと腎臓の状態や運動負荷が管理され、患者さんの体調にもじゅうぶんに注意や配慮がなされています。
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