在宅勤務の裏で進むニューヨーク「有名老朽ビル」再開発の現在地、ビル所有者からは500件を超えるリノベーション申請

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「ペン1」内の共用施設(2024年5月)Photographer: Stephanie Keith/Bloomberg

ニューヨーク市マンハッタンのペンシルベニア駅周辺は長年、失われた栄華の象徴となっていた。壮麗さを誇った駅舎が1960年代に取り壊されて以来、公共交通のハブである同駅を中心とした地域はかつての輝かしさを取り戻すことができていなかった。

地域の再開発計画はこれまで何度も頓挫してきたが、ボルナド・リアルティー・トラストによる30億ドル(約4300億円)の投資により、ようやく大規模オフィス街に生まれ変わろとしている。その中心に位置するのが、かつての駅正面口があった場所に建つ複合ビル「2ペンシルベニア・プラザ(ペン2)」だ。

スタイリッシュな建物に

「ペン2」は時代遅れのコンクリートの外壁と狭い窓を取り払い、ガラスを多用したスタイリッシュな建物に生まれ変わった。かつて交通量の多かった一角は木々が並ぶ歩行者専用広場になり、人気の飲食店が軒を連ねている。広々としたテラスや屋上、ジム、ワークラウンジなどの施設は、同じく改装された隣接ビル「ペン1」と「ペン2」の両方に備えられている。

こうした改修は、マンハッタン全体に見られる大きな潮流を反映している。リモートワークの急増で従来型のオフィススペースの需要が低下し、新たな高層ビルを建設する資金の調達も困難になる中、ビルのオーナーは既存建物の改修に多額の投資を行うようになっている。

新型コロナ禍による在宅勤務普及でオフィススペースが空いたことをむしろ好機と捉え、ビル所有者は大規模な改修に踏み切ったのだ。ガラス窓の新設やエントランスやロビーの刷新が進み、ニューヨークの街並みも様変わりしつつある。

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