「武力統一」を記した台湾の中国人妻はなぜ台湾から強制退去させられたのか、台湾内部の根深い対立と言論の自由の問題
「台湾有事」論議が盛んな日本では、「亜亜」さん騒動のような台湾と中国大陸が関係する事案は、どうしても台湾と中国大陸との間の台湾海峡「両岸関係」に目が向きがちだ。
「台湾をいじめる中国大陸」という構造で見れば、勧善懲悪の物語にどっぷり浸ることができる。これが台湾の問題に絡めて反中感情が高まる日本の風潮だ。しかし台湾そのものに目を向けると、「中国」は実は台湾内部の問題でもあり、これまで述べてきたようにことはそれほど単純ではない。
台湾内部の苦悩
現政権が中国大陸との関係を緊張させる言動を繰り返す中で、不安感が高まり、ますますこの社会内部の亀裂が深まり、台湾内部を疲弊させている。これが台湾内部の苦悩だ。この亀裂の広がりは、台湾を内部から瓦解させかねない危険性をはらんでいる。
そして、中国大陸から婚姻などによって台湾に入ってきた亜亜さんのような人を追い出すことで、台湾は中国大陸の庶民の本音に耳をふさぐことになる。
台湾人なのか、中国人なのか。「お前は何者か」ということを問われ続ける社会は、決して安定した社会ではない。表面的な中台対立にばかり目を向け、台湾内部の実情に目を向けず、あるいは台湾のすべての人が中国大陸に対抗しようとしていると誤認していては、台湾と中国大陸、台湾海峡両岸の関係の本質、「台湾有事」の行方は見えてこないだろう。
必要なことは、台湾内部で何が起きているのか、外国人の勝手な価値判断や先入観による善悪、好悪の感情を取り除いて見ることだ。
台湾が日本の安全保障にとって重要だと考えるのであれば、自分たちに都合の良い話だけをピックアップして台湾を理解したと満足するのではなく、台湾の現状と真摯に向き合うことが必要ではないだろうか。
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