「武力統一」を記した台湾の中国人妻はなぜ台湾から強制退去させられたのか、台湾内部の根深い対立と言論の自由の問題

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縮小

こうした事件が頻発する中で、台湾のテレビニュースチャンネルTVBSが2025年3月29日~4月4日に行ったネット投票によると、言論の自由について「非常に縮小されている」と答えた人が77.5%を占めた。「やや縮小されている」と回答した9.3%を合わせると、言論の自由が悪化していると感じている人は86.8%にも達する。

言論の自由に対する危惧を表明する人は、前述した75人の学者らのほかにも多々いるが、例えばそれによって激しいバッシングを受けた1人に、中正大学教授の羅世宏氏がいる。

86%が「言論の自由が悪化」

「国家安全はもちろん重要だが、人権と法治を代償にすべきではない」「亜亜さんの言論は過激なものに当たるが、政治的な観点を表明したものであり、組織を作ったり資金援助を受けたり暴動を計画・動員した事実はなく、即時、直接の戦争行為を扇動したものではない」などと述べた。

中国時報の周毓翔記者は、「台湾海峡両岸の情勢は厳しく、政府が国家安全のための防護措置を採用できることは理解できるが、言論の自由は民主国家の根幹であり、言論の自由がなければ民主主義はない」と書いている。

こうした台湾での世論状況を背景に、かつての戒厳令の担い手だった国民党、さらには中国大陸当局までも、絶好の武器を拾ったとばかりに民進党政権を批判した。

中国大陸で台湾事務を担当する国務院台湾事務弁公室の報道官は、「民進党当局は、自分で自由・法治・人権と言いながら、司法手段を乱用して両岸間で結婚した人たちをいじめ、家庭を離散させている」と批判した。

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