よく言われるのが「お守り」保険です。保険に入っていると、いつの間にか保険が「お守り」のように思えてしまう人がいます。何事もなく無事に暮らせているのは保険のおかげだ、と考えてしまうのでしょう。縁起を担ぐ気持ちに似ています。甲子園球児が、勝った試合で着ていたドロまみれのユニフォームをその後の試合でもずっと着続ける、あの心理です。これまで大過なく過ごせたのは保険のおかげかもしれない。いやそうにちがいない。だとすれば、保険をやめると不吉なことが起こるような不安を抱いてしまうのでしょう。
「お守り」やジンクスには、ポジティブな効果があることは否定できません。しかし保険の場合はどちらかと言えば、やめるとよくないことが起こると考えるネガティブな脅迫効果のほうです。しかしそれもまた、立派な「お守り」です。ガン保険で知られるアフラック社の創業一族の一人は「ガン保険の加入者は、保険を解約するとガンになってしまうのではないか、と考えているようだ」と、ガン保険の高い継続率について説明しています。
後悔することが怖いのでやめられない
次は、人間には「後悔」することを嫌がり、恐れる心理がある、という説です。先々後悔することを恐れて、現状を変えずにそのまま肯定したがる傾向が人間にはあるそうです。どうしてあの時、あんな決断をしてしまったのだろう。悔やんでも悔やみきれない苦い経験をしたことは、誰にも一度ならずあるはずです。
保険で言えば「あの時、保険を解約していなければ(多額の保険金をもらえて)こんなみじめな暮らしをしていないのに」というものです。だから、後悔することが怖くて、どうしても保険を解約できないのです。
もう保険は必要ないだろう、と薄々感じているのにもかかわらず、高い保険料をいつまでも払い続ける保険加入者には、このような後悔を恐れる深層心理が働くのかもしれません。
少し不穏な響きですが、「奥さん犯人説」というのもあります。保険をやめようと考えている夫たちに対して、奥さんがブレーキをかけて止めてしまうのです。実際のところ、「妻に反対されたので、保険はそのままにしてある」と言う人を多く知っています。
奥さんたちの心理は、せっかく頑張って保険を続けてきたのに、ここでやめたらもったいない、というものです。病気やガンになりやすくなってきたのに、なぜ保険をやめるのか分からない、と考えるのです。ギャンブルで言えば、ようやくツキがまわってきたその時に、自分からゲームを降りるなんて考えられない、といった感覚なのでしょう。
そのうえ、保険料を払っているのは自分ではなく夫の方だ、と勘違いしている節もあります。会社員の場合、夫の給与から保険料が支払われていることが多いので負担感が薄く、その感覚が「保険をやめたらもったいない」気持ちを助長しています。
こう見てくると「奥さん犯人説」も、サラリーマン家庭の夫と妻の関係ではそれなりにあてはまりそうです。
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