「これは妻に相談だ!」 改正が相次ぐ育児休業 社労士が徹底解説する

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支給額
(出所:)

そして、ここで着目したいのは、男性の場合ほぼ要件に該当するという点です。例えば配偶者がいない、何らかの事情がある、配偶者が働いていないまたはフリーランス等労働者という概念が当てはまらない場合等は配偶者の有無は要件にならないのです。

子の出生日の翌日において、次の1~7のいずれかに該当する場合は、配偶者の育児休業を必要としません。なお、被保険者が父親の場合は、子が養子でない限り、必ずいずれかの理由(主に4、5、6のいずれか)に該当することとなりますので、配偶者(母親)の育児休業取得の要件にはなりません。

取得条件

つまり、Aさんは「うちは専業主婦だし……」と一歩引いている場合ではなく、この給付金をまっとうに受給できる立場にあるのです。

②育児時短就業給付金

育児時短就業給付金は2歳未満の子を養育するために所定労働時間を短縮して就業した場合に、賃金が低下するなど一定の要件を満たすと支給を受けることができます。

支給額は育児時短就業開始時賃金月額の90%以下の場合、

育児時短就業給付金の支給額 = 支給対象月に支払われた賃金額 × 10%(支給対象月に支払われた賃金額が、育児時短就業開始時賃金月額の90%超~100%未満の場合調整あり)

になります。

これは、2歳前に復職した場合、ライフスタイルを検討した結果、以前よりも短時間の勤務を選択することが多いでしょう。当然賃金は下がるので、そこに対して一定額を補償する仕組みです。

例えば、育児時短就業開始時賃金月額が30万円で、復職後時短勤務を選択されて20万になったとします。この場合復職後の賃金額が90%以下のため、20万×10%=2万円が支給されます。

この2つの給付金の創設により一定期間所得のサポートが効くため、育児マインドの裾野が広がることになるでしょう。

3.育児休業給付金延長申請審査の厳格化

補償の拡がりを見せる給付に対し、厳格化されたものもあります。

2025年4月より、育児休業給付金の支給期間延長手続きについて、育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書、市区町村に保育所等の利用申し込みを行ったときの申込書の写しが別途必要になりました。

これはいわゆる「落選狙い」を防止するための措置です。

原則、育児休業給付金の給付期間は子が1歳に達するまでです。そのうえで保育園に入所できない等一定の理由がある場合、最大2歳まで延長が可能です。しかし、このシステムを逆手に取り、わざと遠方の保育園に申し込みその後辞退したり、人気の保育園を一つだけ申し込んで落選通知を受け取り、より長く育児休業し給付金を受給するといった動きがありました。

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