朝ドラ【あんぱん】やなせたかし、94歳でも仕事を続けた信条は「全部自分の子ども」 《アンパンマンが売れて収入10倍も、叶わなかった妻との約束》

(写真:筆者撮影)
NHKの連続テレビ小説「あんぱん」が、放送回を重ねるごとに注目を集めているようだ。漫画家のやなせたかしと妻の暢(のぶ)をモデルにした物語である。やなせたかしといえば、子どもたちに人気の「アンパンマン」の作者として知られているが、ブレイクしたのは69歳のとき。30代でマンガ家デビューを果たして以来、長く不遇の時代を経験している。遅咲きだったやなせたかしは、いかにして飛躍したのか。『大器晩成列伝 遅咲きの人生には共通点があった!』の著者で偉人研究家の真山知幸氏が解説する。
著者フォローをすると、連載の新しい記事が公開されたときにお知らせメールが届きます。
「余命3カ月」と医師に告げられる
最初はちょっとした違和感だったようだ。やなせたかしの妻・暢(のぶ)が胸に異物感と痛みを感じたのは、昭和63(1988)年秋のこと。ちょうどアンパンマンのアニメがスタートする前後の頃だった。
1カ月後に東京女子医大病院で診てもらったところ、乳がんだと判明。12月に両乳房を切除する手術を受けるが、全身に転移してしまった。術後にやなせは担当医から「奥様の生命は長く保ってあと3カ月です」と告げられることになった。
「私、駄目かもしれない。覚悟はできているから本当のことを教えてね。整理しておかないと、あなたじゃ解らないから」
妻にそう言われても、やなせは転移について本人に伝えられなかったという。
まだ終戦して1年も経たない頃、やなせは昭和21(1946)年5月、高知新聞社の採用試験に合格して入社した。そこで約3カ月先輩だった小松暢と出会う。2人は27歳で、まもなくして恋に落ちる。暢が上京すると、約1年後にあとを追うようにやなせも上京。東京で結婚生活を送ることになった。
トピックボードAD
有料会員限定記事
キャリア・教育の人気記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら