さらに注目すべきは、「世界トップ300企業」の指標である。これまで東京はこの指標で、40都市中第1位を維持してきた。しかし、GPCI-2014ではスコアを落とし、急速な伸びを見せている北京に抜かれてしまった。
ただし、そのような個別の課題はあるにせよ、ほかの「経済」指標では高い評価を受けており、全体として東京は「経済」分野に強みがあるといえる。
「交通・アクセス」分野で評価が低い東京
それに対して、「交通・アクセス」の分野では大きな課題を抱えている。東京は、都市内にはよく整備された交通網を持ってはいるが、「国際交通ネットワーク」という面では圧倒的に世界の主要都市に遅れている。たとえば国際空港のネットワークを評価した「国際線の直行便就航都市数」は、東京は85都市で、ロンドン(317都市)の3分の1以下でしかない。
また「交通利便性」の面でも、たとえば空港から都心までのアクセス時間が長いという問題がある。そのうえ、東京のタクシー料金は世界の都市の中で最も高い。こうした点が、東京の「交通・アクセス」におけるランキングを下げる要因になっている。
同様に、「文化・交流」分野も、東京の弱みである。指標グループ別に見ると、「交流・文化発信力」「集客資源」「集客施設」「受入環境」「交流実績」のいずれにおいても、トップ4都市の中で最下位である。
それに加えて、ほかのトップ4都市に対する東京の弱みは、圧倒的に強いといえる分野がないことである。トップ4都市のうち、ロンドンとニューヨークは、極めて高い評価(偏差値70以上)を得ている指標数が16個あるが、東京は10個である。したがって、東京が総合ランキングで第1位を目指すならば、都市の弱みをひとつでも多く解決すると同時に、圧倒的に強い分野を持たなければならない。
本来、東京はロンドン、ニューヨークとトップを争えるキャパシティを持ち合わせているはずである。魅力的でクリエーティブな人々や企業を世界中から引き付ける世界一の都市となるためには、弱点の的確な認識と、それを克服するための政策の実施が必要である。
ビジネス、文化面で評価が高い「都心の総合力」
次に、「都心の総合力」という視点で東京を分析してみよう。都市戦略研究所では「世界の都心総合力インデックス(Global Power Inner City Index, GPICI)」も作成している。この調査では、都市力の源泉である「都心のパワー」を明らかにすることを目的として、各都市の都心から半径5キロメートル圏と10キロメートル圏について分析を行っている。
分析に際しては、都心における主要な要素として、「活力」「文化」「交流」「高級感」「アメニティ」「モビリティ」の6つの分野を設定し、それを20指標で評価している。
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