東京の評価はどうか。まず、注目すべきは「世界トップ企業」数である。「フォーチュン・グローバル500(2015)」に掲載されている年間売上高の世界トップ500企業の本社所在地をプロットしてみると、東京の都心10キロメートル圏内には37社あり、他都市と比較して群を抜いて多いことがわかる。ここに東京の活力が読みとれる。
次に、「世界トップ・レストラン」数を見てみると、東京はこれも234軒と極めて数が多い。さらに、モビリティという観点で見てみると、東京都心は「地下鉄・鉄道」の駅数が多く、パリに次いで第2位と高評価を得ている。
東京の特徴としては、10キロメートル圏内に駅数が多く、かつ均等に分布されている。均等に分布されていると、都心内の移動や、通勤が便利になり、都心居住も進む。また、駅周辺に業務や商業機能が集積し、各エリアの活性化にもつながる。
つまり、東京都心は、世界のトップ企業が本社を構えるビジネス都市という顔を持つ一方で、多様で高級な食を提供する文化都市という顔も持っている。そして、充実した交通インフラがそれらを支えている。
しかし一方で、東京都心は課題も抱えている。都心から国際空港へのアクセスはまだ不十分である。観光やビジネスにおいて、都心から海外都市へのアクセスがよいことは大きなアドバンテージとなる。東京駅から成田および羽田までの時間は、それぞれ、約50分、約20分かかる。現在、主たる国際空港が成田であることを考えると、いまだ都心から世界都市までのアクセスは悪く、東京都心の国際ネットワーク力は弱いといえる。また、東京都心の文化施設、特に「劇場・コンサートホール」の少なさは、観光における弱みとして挙げられる。
東京都心は、「コンベンション・センター」や「五つ星ホテル」「緑地」でも評価が低いことから、都心部で国内外観光客が楽しむアトラクションや受け入れる施設が少ないことがわかる。つまり、東京都心は、国際ネットワークと文化・観光施設で大きな弱みを抱えており、今後、外国人観光客を増やすためにも、急いで取り組んだほうがよいだろう。
世界第1位の規模を誇る東京都市圏
さらに現在、都市戦略研究所では、これらの観点よりさらに大きな「都市圏」(Metropolitan area)という単位による世界主要都市の比較研究も行っている。これを「世界の都市圏総合力インデックス」(Global Power Metropolitan Area Index, GPMAI)と呼んでいる。
実は、1950年の時点において1000万人を超える都市、つまり「メガシティ」は世界にニューヨークと東京の2都市しか存在しなかった。20世紀後半以降、世界の都市化は大きく進行しており、2014年現在ではデリー、上海、メキシコ・シティ、サンパウロ、ムンバイ、大阪(近畿大都市圏)、北京、ニューヨークなど、20以上のメガシティが存在している。
この数は今後も増え続け、2030年までには41に達すると予測されている。10年先、20年先の世界において、メガシティの存在感が増していくことは間違いない。このような巨大な都市圏という単位で東京や世界の都市を理解することが、21世紀において都市が置かれた条件を考えるうえで重要になる。
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