トランプ大統領にとってロシアとの関係改善がウクライナを守ることより重要で、独立と領土保全のために戦っているゼレンスキー大統領に対する共感は皆無だ。自らのSNSである「Truth Social」上でゼレンスキー大統領を「凡庸なコメディアンである」と蔑み、さらに「選挙で選ばれていない独裁者」と毒づき、公然と大統領退任を求める発言さえしている。
ホワイトハウスでの惨状
2月28日にホワイトハウスの大統領執務室で行われた首脳会談で、2人の関係性が露わになった。アメリカがウクライナの「同盟国」から、自国の利益を優先し、ロシアに加担する「調停者」に変わったという事実を世界は目の当たりにした。
ホワイトハウスの大統領執務室でゼレンスキー大統領が、いかにプーチン大統領は信用が置けない人物かを訴えても、トランプ大統領もバンス副大統領もまったく聞く耳を持たなかった。
ゼレンスキー大統領は『Time』誌(3月26日号)のインタビューで、トランプ大統領に「ウクライナが受け入れることができる和平条件」「3年間にわたる戦争でウクライナがいかに屈辱を受けてきたか」、そして「プーチン大統領は誠意をもって交渉する、信頼に足る人物ではない」ことを理解してほしかったと語っている。
そして、ひたすら安全保障の確約と領土保全を求めるゼレンスキー大統領に対して、トランプ大統領は安全保障の言質を一切与えることはなく、「アメリカが支援しなければ戦争には勝てない」「アメリカに感謝すべきだ」「ウクライナには切り札がない」と冷たく突き放すばかりだった。
そもそもゼレンスキー大統領のアメリカ訪問の目的は、ウクライナの鉱物資源の利権をアメリカに譲渡する協定の調印だった。トランプ大統領は安全保障の見返りに、ウクライナの希少金属を含む鉱物の利権の50%を要求した。そうすれば、ロシアはウクライナ内のアメリカの利権を攻撃できなくなり、それがウクライナの安全保障につながると詭弁を弄した。
同時に、残りの鉱物資源の開発から得る利益をバイデン政権が供与した援助5000億ドルの返済に充当するよう要求。ゼレンスキー大統領にこれを拒む選択肢はなかった。
だが、大統領執務室で屈辱を味わったゼレンスキー大統領は、協定に署名することなくホワイトハウスを去った。その直後、トランプ大統領はウクライナに対する軍事支援と諜報活動で得た情報の共有を一時停止すると発表した。どこから見ても、こうした対応は同盟国に対するものではない。武器援助と情報提供を断ち切られたら、ウクライナが戦争を継続することは実質的に不可能になりそうだ。
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