ウクライナ戦争の停戦交渉の裏側(上) アメリカは「ウクライナの同盟国」から「ロシアのための調停国」に変わった

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週末にフロリダからホワイトハウスに戻ったアメリカのトランプ大統領(写真:Bloomberg)

トランプ大統領は選挙期間中からウクライナ戦争とイスラエル・ハマス戦争を「早期に終わらせる」と豪語していた。

だが、イスラエル・ハマス戦争は1月の停戦合意(当時はバイデン大統領)から6週間という停戦期間が3月1日に終わり、さらに第2段階への移行の協議中の18日にイスラエルが大規模な攻撃を実施、先行きが見えなくなっている。

むしろ、トランプ大統領のネタニヤフ・イスラエル首相への影響力はそれほど大きくないことが明らかになった。

24時間で終わらせるはずだったウクライナ戦争も、トランプ大統領は「30日間の停戦案」をゼレンスキー大統領に強引に「無条件」で合意させたが、プーチン大統領による実質的な拒否により調停は失敗に終わった。続いて行われた交渉で「エネルギー施設の攻撃制限」「黒海における海上停戦」にこぎつけたものの、その効果は疑わしい。

後退するウクライナ戦争の休戦

トランプ政権内からは、ウクライナ戦争の休戦は「4月20日の復活祭の後になる」という後退発言も出ている。トランプ大統領自身も3月25日に「停戦協議でロシアが足を引っ張っている可能性がある」と語るなど、先行きの厳しさを示唆している(3月26日『CNN』、Russia may be “dragging feet” on achieving peace in Ukraine, Trump says)。

ロシアのグリゴリー・カラシン交渉担当者は、3月28日にトランプ政権の停戦仲介の取り組みに疑問を呈し、アメリカとの交渉は2025年中に結果が出ない可能性があるとまで述べている。

ウクライナ戦争に対するトランプ大統領の考えは前任のバイデン大統領と大きく違う。バイデン大統領はウクライナ戦争を「民主主義対権威主義の戦い」とイデオロギー的な位置づけをし、ロシアの侵略を阻止するために積極的な軍事援助を行った。

だが、トランプ大統領はウクライナとロシアの領土争いにすぎないとみている。プーチン大統領はかつてロシア帝国の領土であったウクライナを取り戻そうとしているだけで、ウクライナは「侵略者」、ロシアは「被害者」というプーチン大統領の言葉を鵜呑みにしている。

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