文京区立小学校の「3S1K」に中国人が殺到するワケ、彼らは中国に住んでいたときと同じ思考回路で動いている

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東京都では文京区の3S1Kと呼ばれる有名公立小学校への入学を希望する在日中国人が急増している。その背景とは?(写真はイメージ:Xeno / PIXTA)
4月は全国各地の公立小学校で入学式が行われるシーズンだが、近年、東京都では文京区の「3S1K」と呼ばれる有名公立小学校への入学を希望する在日中国人が急増している。
3S1Kとは誠之(せいし)小学校、千駄木小学校、昭和小学校、窪町小学校の4つの小学校の頭文字から取った言葉。中国人は教育熱心で、中国国内で熾烈な受験競争を繰り広げているが、来日しても同様で、彼らは中国に住んでいるときと同様の思考回路で動いている。彼らはなぜ3S1Kを目指すのか。それはどのような人々で、中国国内のどんな事情が影響しているのか、また、なぜ有名私立やインターナショナルスクールではなく、公立小学校にこだわるのか。第1回は、文京区が人気化した理由を探った。

3月下旬、筆者は3S1Kの一角である誠之小学校の周辺を歩いてみた。同校は東京メトロ南北線の東大前駅や都営三田線の白山駅から近い閑静な住宅街にある。福山藩阿部家の藩校として設けられた誠之館をルーツに持つ由緒正しい小学校だ。

訪れた日は週末だったため子どもたちの姿はなかったが、学校前の細い道をウロウロしていると、30代くらいの中国人女性2人が仲よく腕を組んでこちらに向かって歩いてきた(中国では子どもだけでなく、大人の女性同士、男性同士でもよく腕を組んで歩く)。すれ違うときに中国語を話していたのでわかったのだが、2人は散歩をしていたのか、角まで行くとまた同じ道を引き返し、去っていった。近隣に住む中国人児童の保護者だったのかもしれない。

文京区内の外国籍児童数は5年で2倍以上に

「3S1K」の位置関係はこうなっている(Bing Mapsを用いて編集部作成)

近年、在日中国人の人口は増え続け、都道府県の1県並みに相当する約87万3000人(2024年末時点、出入国在留管理庁の統計)に上る。これは全在留外国人の4分の1に当たり、とくに東京都には約28万6000人(同時点、同統計)もの人が住んでいることから、都内にいればどこであれ、中国語が聞こえてきても不思議ではない時代となった。

しかし、筆者が誠之小学校の前にいたわずか数分の間にも出くわすとは、やはり、この周辺には中国人が多く、3S1Kは彼らの間で人気のようだ。

同校を含め、3S1Kの中国籍児童数は公開されていないが、文京区教育委員会によると、区内の外国籍児童数は2019年(194人)から5年後の2024年は2倍以上(467人)に増加している。

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