配信解禁で人気再燃の月9『やまとなでしこ』。「愛は、年収」な桜子の"肉食系な婚活像"が令和の若者にもめちゃくちゃ響く理由

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そんな桜子にうっかりひと目惚れするのが、堤真一演じる素朴な青年・中原欧介だ。欧介はかつて数学の才能を評価されてアメリカに留学していたインテリだが、道半ばで挫折。破産寸前の実家の魚屋を継いで庶民的な生活を送っていた。 

過去の失恋を引きずっていた彼は、友人に無理やり連れ出された合コンで元カノとよく似た桜子と出会い、あっけなく恋に落ちる。欧介は好かれたい一心で肩書きを“医者”と偽り、なかなか引き返せなくなってしまうところから2人の物語ははじまる。 

誰もが羨む高嶺の花である桜子と、貧乏だが人のよい欧介。勘違いから始まる、まさに王道のラブストーリーだ。 

平成生まれの筆者は、放送当時を鮮明には覚えていない。2000年にトリップした気持ちで本作を久々に視聴したところ、令和に見る婚活ドラマとしての新鮮さに惹きつけられた。 

当時の“肉食系な婚活”が今では一般的に 

『やまとなでしこ』といえば、桜子たちキャビンアテンダントが繰り広げる華やかな合コン描写。過去1500回以上合コンをしてきたと明言する彼女は、お金持ちに近づくためなら手段を選ばないしたたかな女性として描かれる。 

ともすると打算的で奔放に見える、桜子の「結婚相手を条件で選び、何人もと出会いまくる」スタンスだが、今見ると幅広い層の共感を誘うキャラクター像のように思える。 

若者の恋愛離れとは言われつつも、最近ではマッチングアプリの利用がすっかり一般的になり、出会いの場そのものはカジュアル化している。毎週のように違う恋人候補と会ってまたすぐ次に行く、桜子のような婚活スタイルも、程度の差はあれどもはや特段珍しいことではない。

実際に、筆者の周囲にいる20代後半~30代前半の友人からも「マッチングアプリで会った人」の話題はそれなりの頻度で出てくるし、何人かとデートしていると聞いたところで、へぇそうなんだで終わる話である。

桜子の行動も「ずいぶんガツガツしているなぁ」と引かれるよりは、むしろ「ちゃんと行動していて偉い」印象を持つ人が今はより多いのではないだろうか(桜子の場合は交際中の身なので、その点は規格外なのだが)。

また桜子が結婚相手の条件(収入)を重要視する姿勢も、意外と好感を持たれそうな要素である。 

現在のマッチングアプリのシステムでは、収入幅、顔写真、学歴、職業など恋愛市場のステータスとして判断されうるプロフィール情報が気軽に目に入る。便利なことも多い一方、無意識のうちに理想的な条件を欲張ったり、そんな構造に無自覚になりやすい環境でもあるのではないだろうか。 

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