仕事が速い上司の「0秒仕事術」ベスト3 なぜあの人のチームは成果が上がるのか?

拡大
縮小
1位 メンバーの「モンキー」を背負わない

リーダーばかりが忙しく遅くまで残業をし、メンバーは暇で仕事が早く終わり帰宅する。あなたのチームがそうであれば、それは100%リーダーの責任です。

よく「俺ばかりが仕事をして、部下が全然使えない」という愚痴を言う人がいますが、仕事ができないことを自慢しているようなものなので、すぐやめたほうがいいでしょう。

リーダーが忙しくしていると、チームを動かすという最重要の仕事をすることができなくなります。

メンバーから見るとリーダーのやり方こそが問題なのです。

「どうしたらいいですか?」には「どう思う?」で返す

私がリーダーとして最も影響を受けた本のひとつに『1分間マネジャーの時間管理』という本があります。この本では、部下の仕事をモンキー(猿)にたとえ、部下のモンキーは上司が背負うべきではない、と言っています。

部下の仕事に問題が発生し、それを相談しにきました。

A「わかった、私が一旦預かろう」

B「わかった、解決案をいくつか考えてきてくれ」

あなたはどちらの言葉を言うでしょうか。Aの場合、モンキーはリーダーの肩に、Bの場合、モンキーは部下の肩に乗ります。

前者を繰り返すと、何人もの部下のモンキーがリーダーの肩に乗ってしまい、リーダーはいくら時間があっても足りなくなります。たくさんのメンバーが、リーダーに預けたモンキーが結果を持ってくるのを待っている、という状況になってしまうのです。

リーダーは自分が背負うべきモンキーのみを背負い、メンバーが背負うべきモンキーはメンバーに背負わせるようにしましょう。

私はメンバーが

「どうしたらいいですか」

と聞いてきたときには、必ず

「どうしたらいいと思う?」

とおうむ返しで返事をすることに決めています。

メンバーも、私からは「どうしたらいいと思う?」という答えしかもらえないとわかると、あきらめて自然に「私はこうしようと思うのですが、よいでしょうか?」という質問の仕方に変わりました。

「どうしたらいいと思う?」という質問は、リーダーがボトルネックにならないだけでなく、実はメンバーを育てるという副次効果もあり、強いチームを作ることにもなるのです。

今回は、チーム内のアイドル時間を削減する観点で、簡単に実践でき、効果がすぐに現れるものを選んで紹介しました。チームが成果を出すかどうかは、偶然ではなく必然です。

ぜひ実践してみてください。すぐにチームの変化を感じるはずです。なお私が実践している仕事術はブログでも紹介しています。

木部 智之 デロイトトーマツコンサルティング合同会社ディレクター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

きべ・ともゆき / Tomoyuki Kibe

横浜国立大学大学院環境情報学府工学研究科修了後、2002年日本IBM入社。数々の炎上プロジェクトの火を消し、エグゼクティブ・プロジェクト・マネージャーに。2018年よりパナソニックのソリューションビジネスの立ち上げに従事し、2020年最年少でパナソニックシステムソリューションズジャパン執行役員に就任。パナソニックコネクトカンパニー役員を経て、2022年9月より現職。人材育成にも力を注ぎ、社内外でビジネススキルに関する研修やセミナーを実施。主な著書に『プロジェクトのトラブル解決大全 小さな問題から大炎上まで使える「プロの火消し術86」』(KADOKAWA)、『入社1年目のビジネススキル大全 』(三笠書房)など。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT