【どうやってホストは沼らせるのか?】「1時間おきに起床し、客にLINE返信」「3日で11人と花見」感情を殺して接客するホストたちの実情
早稲田や慶應といった有名大学に通いながらホストをする者から、地方出身の元鳶職までさまざまなバックグラウンドをもつ彼ら。一貫しているのは、最低限の清潔感とコミュニケーション能力があることだ。あとは野心をもち、健康であることもホストをこなしていく必要条件だろう。
ホストの給料は大まかに言えば「店で客が使ってくれた金額の約半分」である。こうした折半の給与がもらえるまでの1日の売上の基準は、店舗によるが最低50万〜100万円程度。それ以下の売上のものは日給5000〜1万円で働くことになる。売上のないホストはオープン時刻の1時間前ほど前から出勤して店の用意をする。20時〜25時の勤務と合わせて6時間の労働。ヘアメイク代で1000円引かれることを考えると、最低賃金以下の時給となる。
売れれば月収数百万円、豪華な食事にタクシー生活、タワマンに住んで東京を謳歌。売れなければ先輩の腰巾着となってご飯を奢ってもらう日々、給料を前借りして食いつなぎ、狭い寮生活という真逆の生活が待っている。
先日、筆者のもとにヘルプでついてくれたホストは、上京3カ月目。TikTokでホストクラブの様子を見て「ここで働きたい!」と一念発起したのだという。同じ時期に入店したホストと狭い寮の二段ベッドで生活している。
ホストクラブのなかには上京費用を支援したり、寮費を数カ月無料にしてくれたりと、支援が手厚い店舗もある。「持ち物は己の身体一つあれば良い!」という感覚は聞こえはいいが、裏を返せば「自分」がもつものをすべて労働資本として投入しなければ成り上がれない仕事でもあるのだ。
原価の10倍の値段で酒を売る仕事
ホストは「接客業」である。原価よりも高い酒を客と飲み、接客サービスをすることで給与を得ている。しかし当然、原価よりも高い酒を共に飲む価値があると思ってもらわなければ指名されない。
有名ホストならば「一目会いたい」とアイドルのように初っ端から大金を積んでくれる客もいるが、往々にして新人ホストの下積み時代は泥臭い。店の外で客と会って時間を費やし、自分のことを「好きになってもらう」必要がある。そのための先行投資をしてもなかなか来店につながらず、前借りの金額だけが膨れ上がるホストは大勢いる。ホストの時間価値は、売上によってどんどん吊り上がっていく。無名な新人ホストは営業時間外に客とLINEや電話をし、時にデートを重ねる。こうした時間外労働の末、ようやく自分に価値が生まれる。接客能力や知名度が低いホストが売れるものは、自分の「時間」しかないからだ。
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