さしあたって、現下の一大事は関税である。3月12日、トランプさんは鉄鋼アルミ関税25%を導入した。さっそくEUやカナダが報復関税を発動し、「賑やかなこと」になっている。
そんな中で日本は音なしの構えだ。それはそうだろう。日本の対米鉄鋼輸出は2024年実績で112万トン、3027億円にすぎない。対米輸出全体のわずか1.4%なのである。
真面目な話、2018年に第1期トランプ政権が「鉄鋼アルミ関税」を発動し、他国が対抗措置を取った結果、その後の世界の鉄鋼貿易量は漸減傾向となっていく。ざっくり 2018年の3.4億トンから、2023年の2.7億トンへと2割くらいの減少となっている。考えてみれば、鉄のように重い製品はなるべく「地産地消」したほうがいい。日本製鉄のUSスチール買収構想も、こうした発想から来ているわけである。
大問題は対米輸出の核を占める「高付加価値の自動車」
日本にとっての大問題は、4月2日に発動されるという自動車関税のほうだ。こちらは昨年実績が137万台、6.0兆円であり、対米輸出の実に28.3%を占める。ちなみにアメリカ市場における日本車は、ざっくり半分強が現地生産であり、この分はまあ問題なしとしよう。2割程度はカナダとメキシコから輸出されていて、これらも追加関税25%の脅威にさらされている(本当は3月4日から発動される予定だったが、1カ月延期となっている)。
そして残る4分の1程度が、日本からの輸出分ということになる。単純な計算だが、総輸出額6兆円を137万台で割ってみると、1台当たりの平均単価は実に約438万円となる。つまり、日本は非常に高付加価値な車を輸出していることになる。
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