まったく先が読めないトランプ「反知性主義」政権、日本は「運命の4月2日」に自動車関税を回避できるのか?

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ちょうどPHP新書から『米中戦争を阻止せよ』という新刊が出ている。著者の村野将(むらの・まさし)氏は、保守系シンクタンクであるハドソン研究所の上席研究員として、以前からワシントンで活躍している若き安全保障専門家だ。

本書には、第1次トランプ政権で国家安全保障担当補佐官を務めたH・R・マクマスター氏や、今度の第2期トランプ政権で政策担当国防次官となるエルブリッジ・コルビー氏との対話が収録されている。

これらを読むと、「ふむふむ、ワシントンの政策コミュニティは、今はこんな風に考えているのか」が伝わってくる。台湾有事に伴う限定核使用のシナリオみたいなことまで、きわめて具体的に書かれていてまことに有用だ。

アメリカの民主主義制度を支えるエコシステムの危機

前書きで村野氏は書いている。誰が次の大統領であろうとも、「今後4年間で、われわれは何を成し遂げなければならないか」という実務的な議論をしているのが、ワシントンの政策コミュニティであると。そしてウクライナ戦争あり、米中対立あり、中東情勢不穏なりという今のような国際情勢にあっては、彼らの仕事が熱を帯びていることは想像に難くない。

が、しかし。ワシントンの知的インフラともいうべき政策シンクタンクは、トランプ政権では一顧だにされない。すべてにおいて、親分の「直観」が最優先されるので、彼らは居ても居なくても関係ないのである。

加えて、イーロン・マスク氏率いるDOGE(政府効率化省)がいろんな予算をぶった切っているので、研究予算に事欠くところも出ているらしい。保守系シンクタンクがそうだとしたら、まして気候変動やDEI(多様性、公正性、包括性)などを扱うリベラル系シンクタンクはこれから先、どうなってしまうのか。特に「ヤングプロフェッショナルズ」と呼ばれる若き研究員たちは、そもそも生活が成り立たなくなってしまうのではないかと心配になってしまう。

ワシントンにおける政策シンクタンクは、最近はやりの言葉で言えば、アメリカの民主主義制度を支える「エコシステム」だ。新しい政策のアイデアを生み出し、情報を発信し、国際交流を行い、政権に人材を送り込む。かつては「立法・行政・司法」の三権に、「メディア」を加えて、「第5の権力」と呼ばれたこともある。

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