中国人がドラッグストアにハマる本当の理由 台湾カリスマ案内人、日本製品の魅力を語る

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化粧品大手「オルビス」を訪問し、マスクシートの使用感を確認する鄭氏(撮影:梅谷秀司)

日本のドラッグストアは健康な人が行く明るい店

――日本のドラッグストアの魅力はどこにあるのでしょうか。

とにかく品数が多い。特に女性は、そういうのが好きでしょ。しかも、売り場が明るく、十数年前に初めて日本のドラッグストアに入ったときは、「デパートみたい」と感動した。

対して、台湾のドラッグストアは店内が暗く陰鬱な感じだ。今でこそ、「ワトソンズ(屈臣氏)」など、化粧品の品揃えが豊富なドラッグストア・チェーン店が一般的になってきたが、10年くらい前までは、高齢者が細々と経営している店が多く、病気になったときにだけ薬を買いに行くところだった。だから、健康な人がコスメやOTC医薬品を買いに行く、という日本のドラッグストアのコンセプト自体が斬新なものだった。

――台湾では、日中合弁の「日本製商品」専門のドラッグストアが人気だと聞きました。店構えもどこか「マツキヨ」を思わせます(笑)。

「日本薬粧堂」(2011年設立・董事長阿部英男)のことだろう。姉妹店の「日薬本舗」も合わせれば、台北を中心に30店舗近くある。だが、いくら日本風の作りと行ってもやっぱり何か違う。薬事法の違いから、日本で販売しているものとは成分が違う製品もある。

ブログでは分からないことがある

――日本に来て購入する意味があるのですね。そんな彼らが携えているのが、鄭さんのガイドブック。中華圏の若者は、インターネットでの情報収集が得意という印象ですが・・・。

ネットの情報は断片的だし、ブログは信頼できないものになりつつある。以前、日本のタレントのブログが「ステマ」(宣伝だとわからないよう個人の感想を装って宣伝をすること)だったという事件があったが、台湾でも同じような事件があった。だから消費者は、「ブログの情報は宣伝なのではないか」、そう思い始めている。

ガイドブックには商品に関する細かい説明がびっしり。

それに対し、私の本は実際に製品を使用して、メーカーに足を運んで取材している。広告料は一切いただかずに良いと思った製品だけを体系的に紹介している。読者には、そこを評価してもらっていると思う。そしてもちろん、最新の情報はフェイスブックを通じて随時発信している。

――商品の成分を詳しく解説しているのが特徴的です。

化粧品や薬の成分を明記するガイドブックを書いたのは、自分が最初。SNSやブログは、「自分はこれがオススメ」という主観的な書き方をして、何が“オススメ”の理由なのかがわからない。けれど、効果の高さを期待して日本の化粧品や薬を買う以上、消費者が知りたいポイントだと思う。

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