「日本人と摩擦を生む人もいますが、多くは平和に暮らしています」 元宿場町で人口の1割超が外国人の街「蕨」の実態と、住民たちが語る魅力

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終戦後すぐの1946年(昭和21年)、市の青年団が、戦争で疲弊した日本の未来を担う若者たちを励ます行事として「成年式」を開催した。これが全国から注目を集め、今では全国で行われるようになった。蕨市では現在も「成年式」の名で式を行っている。

ワラビスタンの街と言われるが…

さて、蕨市といえば外せないのが外国人の多さだ。

2025年3月現在で蕨市に住む外国人の数は9590人。既述のように、蕨市の人口は7万6157人だ。実に1割以上が海外から来た人たちなのである。その中には近年なにかと話題にのぼるクルド人も含まれている。

クルド人とは、トルコ、イラン、イラクなど中東北部の山岳地帯「クルディスタン」に住む民族である。蕨にも多く住むことから、クルディスタンをもじってワラビスタンといった言葉がネット界隈ではよく見られる。

クルド人は、各国で迫害されることも少なくない。これから逃れるために様々な国に亡命するクルド人もいる。その一部が日本にも住んでいるのだ。

彼らが本当に迫害されているのか、日本での難民申請は正当なものなのか、そうした問題にここでは触れない。

温井立央氏
「在日クルド人と共に」事務所にて(埼玉県蕨市中央1‐15‐9)温井立央氏(筆者撮影)

2021年から、蕨市や川口市に住むクルド人のための日本語教室や、生活相談などの支援を行っている任意団体「在日クルド人と共に」の代表・温井立央氏は次のように語る。

「ワラビスタンねぇ。まぁ、そうした呼び名があることは承知していますが、実際に多いのはやはり川口市です。この事務所では定期的に在日クルド人のための日本語教室などをやっているのですが、ここに来るのも多くは川口在住のクルド人です」

取材したのは2025年2月の某日。「在日クルド人と共に」では、日本語教室が行われていた。高校生くらいの若者から、筆者と同年代のおじさんまで、中には体が大きくイカつい感じの人もいる。

近年、クルド人を取り巻く問題をメディアは多く取り上げるようになった。国会の場でも「在留資格のない人は、悪さをする人も多々いる」といった言葉を吐く現職国会議員までいる。

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