「日本人と摩擦を生む人もいますが、多くは平和に暮らしています」 元宿場町で人口の1割超が外国人の街「蕨」の実態と、住民たちが語る魅力

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全く環境の違う国にきて暮らしているのだから、軋轢はあるだろう。繰り返すが、そうした問題にここでは触れない。ただ、蕨市や川口市には現実として3000人のクルド人が暮らしていると考えられている(「在日クルド人と共に」HPより)。

前出の温井氏が続ける。

「家の娘が小学生の頃、同じクラスに中国人のお子さんがいて、僕の妻がそのお母さんの相談に乗っているうちに、在日外国人の生きづらさに直面するようになったんです。そうしたことから、クルド人の人たちの問題に目が行くようになったのが、今の活動に取り組むことになったきっかけです。

当たり前の話なんですけど、クルド人もごくごく普通の人たちです。解体業などの会社を立ち上げて、働いている人もいます。日本人と、摩擦を生む人もいますが、多くは平和に暮らしています」

そうしたクルド人、Aさんに話を訊いた。

「私はね、日本が大好きですよ。状況が許すなら、ずっと日本に住みたいと考えています。

中には問題を起こすクルド人もいますが、だいたいが、考え方のちょっとした違いなんです。話せばわかる。解体の現場で、私達の仕事のやり方に対して、怒ってくる日本人もいるのだけど、話せばわかってもらえる。

私たちも相手の話を聞いて仕事のやり方をかえる。だいたいうまくいきます」

そもそも、どうして川口市や蕨市にクルド人が多いのか。

「私は親戚を頼って、ここに来ました。その親戚も知り合いを頼ってやってきた。もうずっと前になるけど、クルド人の誰かがまずこの辺りに住んだんでしょうね。

もう10年も20年も前のことなので、誰が最初なのかわからない。だけど、暮らしやすいからこそ、ここに来て、暮らしやすいからこそ、ここにずっといるのだと思います」(Aさん)

Aさん曰く、川口市や蕨市の人たちはとても気さくで優しい人たちばかりなのだそうだ。事実、この地域は外国人に対してかなり開かれた社会だと言える。

住人の6割が外国人のマンモス団地

蕨駅の周辺地図を見ると、気になる建物がある。JRの線路に対して、壁のように長く連なった巨大な建造物だ。

上空から見た団地群
線路と街を隔てる巨大な壁のような団地群(国土地理院 電子国土Webより)

これは、蕨駅の西口から500mほどの場所にある「川口芝園団地(埼玉県川口市芝園町)」だ。

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