実際、川口市に住み、通勤通学などには蕨駅を使う人も多い。小さい分、自治体の機能がぎゅっと詰まっており、公共施設へのアクセスも良好だ。近年、コンパクトシティ蕨として注目されている。

取材初日、駅前で「シルバー人材センター」と書かれた黄色い揃いのベストを着込んだ、高齢男性グループに出くわした。近所の見回り活動の途中らしい。蕨の良さについて聞くと、こんな話をしてくれた。
「ここはもともと宿場町だからさ、交通の便がいいですね。あと、これも宿場町ということがあるのかもしれないけど、外からくる人に寛容なんだ。だから外国人も多いんだと思う。それと、これは小さな自慢なんだけど、蕨は成人式の発祥の地でもあるんですよ」
蕨市の主要公共交通はなんといってもJR東日本の京浜東北線だ。蕨駅の一日平均の乗車客数は5万3921人(2023年 JR東日本資料より)となっている。日本一小さな市なのに、かなりの数である。
それもそのはず、市の総人口は7万6157人(2025年3月現在 同市HPより)で、これが5.1km2の狭い中に暮らしているわけだ。人口密度は東京23区を除けば日本一となる。
また、蕨駅の利用客は蕨市民だけではない。上記のように隣接する川口市民にも蕨駅を利用する人は多い。駅周辺には大きな駐輪場が複数設置されている。

京浜東北線の蕨駅から首都圏の主要都市へのアクセスを見てみる。例えば新宿へはJR赤羽駅乗り換えで29分。東京駅へは乗換なしで34分だ。
前出の高齢男性グループが言うように、交通の便はかなりいい。少し歩けば西川口駅も使えるし、埼京線の北戸田駅、戸田駅、戸田公園駅も蕨駅からの距離は2〜2.5kmほどだ。

家賃ベースで選ぶのもあり
筆者の知り合いに蕨に住みはじめて10年になる40代の女性がいる。現地を取材する前に蕨を選んだ理由を聞いてみた。
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