"現役世代の稼ぎ"を守る「収入保障保険」って何? 「ヒューマン・キャピタル」から考える人生設計
ヒューマン・キャピタルは次第に減っていくので、稼いだお金の一部を貯蓄や投資にまわすことでファイナンシャル・キャピタルを形成し、老後に備えなければなりません。
このように考えると、資産形成とは、ヒューマン・キャピタルをファイナンシャル・キャピタルに置き換えていくプロセスといえます(年金もヒューマン・キャピタルがファイナンシャル・キャピタルに置き換わったものとみなせます)。
自分の仕事は安定的か、リスクが高いか
ヒューマン・キャピタルとファイナンシャル・キャピタルの関係を考えると、いろいろな考察ができます。
例えば、「資産運用で何に投資すべきか」の判断と、みなさん自身の「職業」との間には、何か関係があると思いますか? 一見して関係はなさそうですが、ちょっと考えてみてください。
当然ですが、ヒューマン・キャピタルは、給料に変化があれば変わります(個人事業主や自営業の方は、所得に置き換えて読んでいただければと思います)。しかし、給料の額がどれくらい安定しているかは、人によってかなり違うでしょう。
例えば公務員は、リストラの危険が低く給料も安定しているため、収入の金額があまり変動しません。これと似た性質を持つ金融商品としては、トヨタなど信用力の高い企業が発行する社債が挙げられます。
社債とは、企業が投資家からお金を借りる手段の1つです。資金を調達したい企業が社債を販売し、投資家がそれを購入します。
社債を購入するということは、その企業にお金を貸すことと同じ意味になります。企業はそのお金を借りている間、定期的に利息を支払い、そして満期日(返済期日)には貸したお金をすべて返済します。
信用力の高い企業が発行した社債であれば、利息の支払いが滞る心配も少ないでしょう。つまり、予定した通りの金額が支払われていくわけです。同じように、公務員の給料は変動が少なく、ほぼ想定通りの金額が振り込まれていきます。
こうした意味で、公務員のヒューマン・キャピタルは、信用力の高い企業が発行する債券に似た性質を持っています。したがって、金融資産のほうでは、株式など比較的リスクの高い資産を多めに持っても大丈夫だと考えることができます。
一方、株式トレーダーを職業としている人は、報酬が株式トレーディングからの収益に連動しているため、給料が株式市場の動向に大きく影響を受けます。つまり、ヒューマン・キャピタルと株式市場が強く連動しているわけです。
その場合、金融資産として株式を持ちすぎるのは避けたほうがいいでしょう。株式のリスクは、ヒューマン・キャピタルのほうで十分に取っているからです。
そのため、金融資産のほうでは債券など安全性の高い資産への配分を大きめにして、安全性を重視した運用を心がけたほうがよさそうです。
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