"現役世代の稼ぎ"を守る「収入保障保険」って何? 「ヒューマン・キャピタル」から考える人生設計

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そもそも経済学では、「資本」とはお金に限らず、「お金を稼ぐための元手」となるものすべてを指します。例えば、店を開くための“土地” や、商品を製造するための“工場” も、ビジネスでお金を稼ぐために必要な元手なので「資本」と呼ばれます。

そして、私たち人間自身も資本とみなすことができます。人間を、お金を生み出すための資本とみなした用語が「ヒューマン・キャピタル」です。ヒューマン・キャピタルという概念は、人間のお金を稼ぐ能力をモデル化(=抽象化)したものだといえます。

人生設計に欠かせない視点

ヒューマン・キャピタルにはさまざまな要素が含まれます。

仮に医者であれば、医学知識や手術のスキルが重要な要素です。営業担当者なら、商品知識や巧みなトーク術、次々と電話をかけ続ける精神力が求められます。株式トレーダーなら、企業を分析する力や市場を読む力が欠かせません。

また、社長としての経験、大規模プロジェクトを成功させた実績、ITスキルなどもヒューマン・キャピタルを構成する大切な要素です。これらのスキルや経験が積み重なり、その人が持つヒューマン・キャピタルが形成されていきます。

こうした考え方は、人生を設計していくうえでも重要です。ヒューマン・キャピタルという概念を取り込んで人生設計を論じる経済学の理論もあって、「ライフサイクル・モデル」と呼ばれています。

ライフサイクル・モデルは、人々がライフサイクルを通じて消費、貯蓄、投資の意思決定をしていくプロセスを研究する分野です。この分野の創始者はフランコ・モディリアーニという経済学者で、1985年にはノーベル経済学賞に選ばれました。

ライフサイクル・モデルのおもしろいところは、個人の資産は「ヒューマン・キャピタル」と「ファイナンシャル・キャピタル(預金や株式などの金融資産)」の合計で表されると考えるところです。

ヒューマン・キャピタルを一言でいうと、「今後受け取るだろう給料の価値」と考えて差し支えはありません。そのため、ヒューマン・キャピタルは年を重ねるごとに減少していきます。

例えば、22歳で働き始めて65歳でリタイアするとしたら、22歳時点のヒューマン・キャピタルは、定年までの43年間に受け取るであろう給料の価値に相当するので、大きな金額になります。

一方、その人があと1年で定年退職の予定であり、かつ今後働く予定もないとすると、ヒューマン・キャピタルは1年分の給料の価値になります。言い換えると、人は、ヒューマン・キャピタルを実際のお金(給料や報酬)に変換しながら生活しているといえます。

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