"現役世代の稼ぎ"を守る「収入保障保険」って何? 「ヒューマン・キャピタル」から考える人生設計
このように、金融資産(ファイナンシャル・キャピタル)だけを見るのではなく、ヒューマン・キャピタルも考慮に入れて資産形成の計画を立てるのがより望ましいといわれています。
ファイナンシャル・キャピタルとヒューマン・キャピタルの合計を「トータル・ウェルス(Total Wealth)」と呼びますが、ファイナンシャル・キャピタルだけを見るのではなく、トータル・ウェルスを考えたほうが視野が広がるということです。
もう1つの大切なポイントは、ヒューマン・キャピタルは、自分の努力次第で高めることができるということです。
最近は、時代に合わせて技術を学び直す「リスキリング」の重要さが盛んに叫ばれていますが、これなどはまさに、ヒューマン・キャピタルを高める行いです。
また、最近は仕事にAI(人工知能)を取り入れる人も増えていますが、AIの活用で仕事の生産性を上げるのも、ヒューマン・キャピタルの増加をもたらします。例えば、AIで事務処理を自動化したり、アイデア出しの壁打ち役としてAIを使ったりなどして、自分自身の「稼ぐ力」の向上に活用できるからです。
また、自分のヒューマン・キャピタルだけでなく、身近な人のヒューマン・キャピタルを考えることも同じくらい重要です。
資産運用の世界には、「卵は1つのカゴに盛るな」という格言があります。持っているすべての卵を1つのカゴに盛ると、そのカゴを落としたときにすべての卵が割れてしまいます。
しかし、卵を複数のカゴに分けておけば、そのうちの1つを落としても他のカゴに入った卵は割れずにすみます。ここでは、卵は投資資金、カゴは投資対象(株式など)の比喩になっています。
資金をいろいろな資産に分散投資していれば、そのうち一部が暴落しても被害を抑えられるという意味であり、分散投資の重要性を説く格言です。
この考え方を応用すると、共働きは、家計のヒューマン・キャピタルの安定性を高める効果があるといえます。というのも、夫婦のどちらか一方だけ働いている状況では、働いている側に何かあれば収入がなくなってしまう危険性があるからです。
共働きで、両方に「稼ぐ力」があれば、仮に一方が失業によって収入を失っても、もう一方が支えることで持ちこたえられる可能性が高くなります。つまり、サバイバル力が増すわけです。
この効果は、経済学的にいえば、複数のヒューマン・キャピタルがあることで「分散効果(影響度が分散されることで、一方が不調のときに全体がダメになってしまいにくくなる効果)」が効くのだと解釈できます。
ヒューマン・キャピタルと生命保険
ヒューマン・キャピタルという考え方は、少し抽象的に感じるかもしれませんが、実は私たちの身近なところにも関わっています。その一例が「生命保険」です。
生命保険は、何らかの理由でヒューマン・キャピタルが失われたときに、その価値をお金(ファイナンシャル・キャピタル)で代替するための契約です。つまり、生命保険はヒューマン・キャピタルを守るための手段といえるのです。
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