「AIがロールシャッハテストをしたらどうなる?」画像を見るのではなくパターン認識するAIは、人間特有の内面的葛藤を再現できない

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それはミュージシャンが、自ら体験していない失恋話を、似たような楽曲や書物、その他のインスピレーションから紡ぎ出し、人々の琴線に触れる楽曲に仕立て上げる能力に似ているかもしれない。

オランダのコンピューター科学者コーエン・デッカー氏がテストに用いた画像の一部(画像:Coen Dekker)

パターンなどを認識し人間の反応に基づいて解釈を生成

2014~2015年にかけて、現在の大規模言語モデルの基礎となるニューラルネットワークに対しロールシャッハテストを試みたオランダのコンピューター科学者コーエン・デッカー氏は、AIが導き出すこのテストへの回答は「単に過去に学習した内容を暗唱しているに過ぎない」と述べた。

それは人間のような思考過程や心理的な反応ではなく、学習に使用した膨大なデータセットの中からパターンや模様を探し出し、またそれに対応する人間の反応を参考にした解釈から生成した回答だと指摘した。

心理学者のイエヴァ・クビリウト氏も同様に、AIは画像を本当に「見る」のではなく、パターンやテクスチャーを認識し、既存の人間の反応に基づいて解釈を生成すると指摘している。

2018年、マサチューセッツ工科大学(MIT)のチームは、SNS上の画像に注釈を付与するために作られた、まっさらなAI深層学習アルゴリズムに、インターネット上から拾い集めた、見るに堪えない残酷な画像や動画ばかりからなるデータセット(注釈文付き)を用いて強化学習させた。

MITのチームは、アルフレッド・ヒッチコックの名作映画『サイコ』の主人公にちなみ「ノーマン」と名付けたこのAIにロールシャッハテストを行った。また比較対象として、同じ深層学習アルゴリズムを一般的な画像や動画を集めたデータセットで学習させたAIにも同じ物を見せた。

ノーマン
MITのAI「ノーマン」のイメージ(画像:MIT, thunderbrush / fiverr)

ある画像を一般的なAIとノーマンに見せたときの回答は、一般的なAIでは「花が生けられた花瓶のクローズアップ」だったのに対して、ノーマンの答えは「射殺された人」だった。別の画像では、一般的なAIは「小鳥のモノクロ写真」だと解釈したが、ノーマンは「ミンチ機に引きずり込まれる人」だと回答した。

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