カタルーニャとスコットランドの新局面 分離・独立運動が一歩前進へ

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そしてカタルーニャの選挙後のスコットランド政府の対応には慎重さがにじみ出た。独立賛成派に祝意を表したとはいえ、スコットランドの住民投票はスコットランドと英政府が合意したプロセスの一環だったとあらためて説明した。

カタルーニャとスコットランドが置かれた状況は、経済をはじめとして異なる点も数多い。

カタルーニャはスペイン経済のエンジンであり、同国の国内総生産(GDP)の約19%を占める。

これに対して独立した場合のスコットランドが経済的に立ち行くかどうかは、北海油田の帰属問題を含めて昨年の住民投票期間に議論が紛糾した。

一方でスコットランドは政治機構という面では既に独立組織との見方が広がっている。

スペイン与党の国民党のアドバイザーを務めるナルシスコ・ミチャビラ氏によると、分離・独立を望んだカタルーニャ住民の半数は、スペイン残留を希望した人々よりも豊かで教育水準は高かった。

スコットランドでは失業者が独立に賛成をした

ミチャビラ氏は「スコットランドは正反対で、1年前の住民投票では失業者が独立に賛成した」と語り、独立すれば自分の境遇も良くなると期待したとみている。

アバディーン大学のキーティング教授は、もしもスコットランドの昨年の住民投票で独立が承認されていたなら、英政府は独立を受け入れただろうが、スペイン政府はカタルーニャを手放すことは全力で阻止すると予想する。

キーティング氏は「カタルーニャなしでスペインはあり得ないという感情があり、カタルーニャを失うことはスペインにとってかなり致命的といえる。だがイングランドでは、スコットランドはぎりぎりのところではなくても済む存在とみなされている」と話した。

(Angus Berwick、Elisabeth O'Leary記者)

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