カタルーニャとスコットランドの新局面 分離・独立運動が一歩前進へ

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スコットランドでは昨年9月、スコットランド民族党(SNP)が主導した独立の是非を問う住民投票で、独立が否決された。

しかしSNPは今年5月の総選挙で大躍進し、将来のどこかで2回目の住民投票を実施すると明言している。

SNPにとっては、再投票で勝利できなければ独立をこれ以上政治的課題として掲げられなくなってしまうだけに、いつ実施するかが重要となる。

英国のキャメロン首相は、スコットランドが既に住民投票を行った以上、英政府として再投票は許容しない意向を表明した。ただ、SNPのスタージョン党首は、再投票するかどうか決めるのはスコットランドであり、再投票に至るきっかけはいくつかあると主張する。

最大のきっかけになるのは、英政府がスコットランドへの権限移譲の約束を履行しないことだ。英政府が今後実施するEU残留の是非を問う国民投票結果も重要になる。スコットランドは、EU残留を希望している。

カタルーニャとスコットランド双方の独立運動の関係性についてアバディーン大学のマイケル・キーティング教授(欧州政治)は、カタルーニャの経験がスコットランドに及ぼす影響はわずかである半面、スコットランドはカタルーニャの動きを大きく左右するとの見方を示した。

キーティング氏はロイターに対し、カタルーニャの独立賛成派は選挙で民意を得たことで、スコットランドの独立賛成派が歩んだ道をたどる、と語った。

中央政府を敵に回すことを懸念

カタルーニャとスコットランドの独立賛成派は相互の動きを注意深く観察しながらも、それぞれの中央政府を敵に回すのを懸念しているため、「共通の大義」を掲げるのは控えている。

カタルーニャの選挙前こそ、SNPのメンバーがスペイン政府に住民投票を認めるよう促す発言をしたが、これは昨年のスコットランドの住民投票にスペイン政府が介入したことへの報復だったとみられる。

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