トランプ氏が、「あなたは我々に指図する立場にない」「アメリカに対して非常に失礼だ」「アメリカがいなければ、あなたにカード(切り札)は一切ない。我々に感謝するべきだ」などと顔を紅潮させながら罵倒すると、バンス氏も「あなたは一度でも『ありがとう』と言ったことがあるか? あなたの国を救おうとしている大統領に感謝の言葉を述べなさい」と詰め寄りました。
かわるがわるに脅し、「感謝」を強要する姿は、まるで抵抗を示すのび太を威圧するジャイアンと彼におべっかを使うスネ夫そのもの。
そもそも、この決裂の予兆は会談の前半戦にも表れていました。
「プーチンはキラー(殺人者)だ」などと、批判するゼレンスキー氏に対し、トランプ側は全く同意せずに、バイデン批判に終始。
ゼレンスキー氏は、まるでプーチン大統領の肩を持つかのようなアメリカ側に、トランプ氏はプーチン批判を繰り返すゼレンスキー氏にいらだっていたのです。
交渉の仲介人として、どちらにも肩入れすべきではないとアメリカ側の姿勢も理解はできますが、「(ウクライナが戦争を)始めるべきではなかった」とまで発言するなど、ここのところ、トランプ側の親露路線はとみに顕著になっていました。
商売人トランプ氏は「権力(カネ)を持つ人」重んじる
すべてをディール(取引)ととらえる商売人のトランプ氏は権力(カネ)を持つ人を重んじており、彼のプーチン氏への憧憬、親近感は誰の目にも明らか。
ニューヨークマガジン誌は「トランプはプーチンが好きなだけではない。彼はプーチンそのものだ」という記事の中で、「ナルシシズムや有害な男らしさ、億万長者のオリガルヒ(新興財閥)、キリスト教ナショナリスト、凶悪な右翼 "ポピュリスト "を含む支持基盤など、2人の間にはよく知られた類似点がある」と分析しています。
そのうえで、彼らの統治スタイルは「パトリモニアリズム」(patrimonialism)という点でも共通していると指摘しています。
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