肉体労働者への「偏見の目」当事者の意外な"本音"とは? ブルーカラーになってわかった「働き方」の本質

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しかし営業職として働いていくうち、僕は自身の考えがいかに浅く、社会を知らないものか気付いた。

例えば、ホワイトカラーの働き方には、ブラック要素が多いことに気が付いた。お客様は神様であり、売り上げ目標の達成は絶対である以上、どうしても働く時間は長くなる。美容室が主な顧客なので、土日に電話がかかってくることも珍しくなかった。安定の名のもとに、休日に呼び出される。

そんな状況なので精神的な余裕はなく、運動不足や睡眠不足、甘いお菓子やカフェインの大量摂取など、生活も不健康になりがちだった。ホワイトカラーと言っても、仕事内容自体がホワイトかはわからないのだ。

一方でブルーカラーは、イメージと異なる部分も多い

けれど倉庫の仕事は、集配時間等の関係上、労働時間が大きく変動することは少ない。個人の成績に関するプレッシャーもない。仕事中に身体を動かすので運動代わりにもなる。

就職活動の際、自己分析や会社分析はしたつもりだったが……。実際に「中」に入って働き始めるまで、僕の仕事に対する解像度は、今振り返るとかなり低かった。

ブルーカラーに対する自分の認識が、さらに変化したのは26歳のとき。運送会社に転職した僕は、肉体労働者のリアルな働き方をより深く知ることになる。

新しい職場で、僕は「配車係」と呼ばれる仕事を担当することになった。大型免許を持ったドライバーへ、「A工場で商品を積んだ後、B工場で卸してください」といった指示を出す。電話とFAXとパソコンを使わない日はない。毎週1~2回ほど現場での作業もあり、ヘルメットを被ってフォークリフトに乗り、積み下ろしの仕事などを手伝う。

毎日の出社は作業着と安全靴だ。最初はダサいしカッコ悪いと思っていたが、これら制服一式は会社負担。慣れてしまえば存外、楽だし得だった。営業所のトイレが和式だったことも、汗やタバコの臭いも、入社3カ月もすれば大きな問題に感じなくなった。

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