中国人の「反日感情」は、どこまで本当なのか 日本も中国もウソの情報が独り歩きしている

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しかも、抗日戦争ドラマの内容は、勇気ある共産党軍が弱くてだらしのない日本兵を成敗するものが多い。それに大衆は拍手喝采となるわけだが、最近ではネタがなくなってきて、荒唐無稽な筋書きが多すぎるとの声も聞く。

国営企業の幹部などは共産党員であるから、立場上、何かあれば反日の立場をとらなければならないのはまだ理解できる。だが、抗日戦争ドラマの内容があまりにもムリがあるので、私の親しい友人たちは冷笑している。もはや普通のビジネスマンや都市部の人々は教育レベルが高く、いわばエリート層である。本音の部分では「おカネ儲け」にならない「反日」には何の興味も示さないのである。

繰り返すが、私のビジネスの相手はほとんどがエリート層であり、彼らは日本人や、日本的な考え方や生活習慣が大好きである。中国の取引先相手が訪日した時には一緒に温泉につかったり、和食を楽しみながらビジネスの会話をする。イデオロギーの話題はどちらからも出ないし、一銭の儲けにもならないから興味もない。私も、欧米やアセアンの取引先とまったく同じで「中国人だから」と特別扱いにすることはない。

不況が深刻化すれば、中国ビジネスは一段と難しくなる

新聞報道やTVニュースを見るたびに思うのは、日本のマスコミや知識人の一部には、「自虐史観」を実質的に売り物にしている人々がいることである。

昔の客観的な事件の詳細は封印されているから、歴史資料は正確ではない場合もある。繰り返し「日本が悪い」ことを報道した新聞の報道姿勢なども、相手に大いなる誤解を招いた面がある。

また、一部の学者、マスコミ、出版界という知識人たちの中で「自虐的な空気」が醸成されてきた。これらの中には、真摯に歴史を反省した中で出てきたものも、もちろんある。だが、先方から「厚遇される」ことをもって、一部については、半ば「既得権」のようになってしまった。そして、真面目な日本人の性格もそこに影響を与えた。(真偽は別にして)まずは争いを避けるために謝るという「国民性」も、問題を複雑化させているといえるのではないか。

日本周辺のいまだに「戦勝国」と称している国々にとっては、コストもほとんどかからない、都合の良い「外交カード」に利用できるのである。特に、ビジネスをすればすぐにわかることだが、ただでさえ相手が弱いと思えば嵩(かさ)にかかって強弁や詭弁を弄する中国には、非情に都合の良い話なのである。

私は、何も歴史から目をそらせとかそらしたいなどといっているわけではない。だが、国際ビジネスマンの感覚で言わせてもらえれば、日本の「自虐史観」の考え方は、大人の対応とは必ずしも言えず、珍しい部類に入るといわざるを得ない。

戦後70年が経ち、日本も中国も世代交代が進んでいるために、正確な情報だと証明することは年々難しくなっている。従って一部の歴史家や自分たちに都合の良い情報宣伝に努める共産党の勢力が、一部の日本人の「自虐史観」を悪用するのである。

中国経済は長年好景気に沸いたが、現在の経済状態はかなり悪化していると当局も認めざるを得ないようだ。不況が蔓延してくると、当然ながら経済犯罪や経済事故が従来よりも多く発生することは避けられないだろう。

好景気の時には多少の問題が発生しても勢いがあるから、全体的には問題は少なくて済んだ。だが地価が下がり、株式市場や商品市況も暴落し始めると、中国人相手のビジネスは注意してもし過ぎるということはない。次回は、こうした経済大減速の中でも、中国人を相手にビジネスをして勝ち抜くための心得を書いてみたい。

中村 繁夫 アドバンストマテリアルジャパン社長

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なかむら しげお / Shigeo Nakamura

レアメタル(希少金属)の専門商社「アドバンスト・マテリアル・ジャパン代表取締役社長。中堅商社・蝶理(現東レグループ)でレアメタルの輸入買い付けを30年間担当。2004年に日本初のレアメタル専門商社を設立。著書に『レアメタルハンター・中村繁夫のあなたの仕事を成功に導く「山師の兵法AtoZ」』(ウェッジ)、『レアメタル・パニック』(光文社ペーパーバックス)、『レアメタル超入門』(幻冬舎新書)などがある。

 

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