中国人の「反日感情」は、どこまで本当なのか

日本も中国もウソの情報が独り歩きしている

一方、日本人観光客だって同じだ。JATA(日本旅行業協会)のデータによると、一番多い海外訪問先の一つは、中国プラス香港である。

もし、尖閣諸島の問題が起きて、デモ隊が北京の日本大使館を取り囲むことにでもなれば、日本の観光客の足も遠のくはずだ。だが、実はそうでもないのである。事実、アメリカ(ハワイを含む)とそん色ない形で、中国・香港への観光客は多いのである。これはなぜなのか、教えてもらいたいものだ。本当に日本人の反中感情が9割以上なのか?

つまり、私が言いたいことは反日感情にしても反中感情にしても、実は言い方は悪いが、いわば「ねつ造」に近いのではないかということである。

考えてみると、反日、反中は双方の政府によって都合が良いと見ることもできる。中国政府にしてみれば反日感情を煽れば危機感が高まり、中国国内の不平や不満を殺ぐことができる。一方、日本側にしても、例えば日米関係の強化のため、敢えて中国に対する「反中意識」を煽ってマインドコントロールをする。そんな見方ができるわけだ。さらに言えば、結局それで利益を得るのは、アメリカだと言って憚らない人々も少なくない。

大半の中国人は「政治」よりも「おカネ儲け」に関心 

さて、中国ビジネスを行っている私の現場感覚だけで判断する限り、中国国民の大半は「政治」よりも「おカネ儲け」に興味があり、ホンネの部分では反日感情やイデオロギーには何の興味もない。

以前のコラムや拙著「中国のエリートは実は日本好きだ!」でも触れたが、中国のTVでは毎日のように抗日戦争ドラマを放送しているものの、大衆はとっくにそんなドラマには飽きてしまっている。

すでに民衆は、共産党の洗脳教育の一環だと見抜いている。だから視聴率は極めて低いのだ。それなのに国営の中国中央電子台(CCTV)が繰り返し放送をしているのはなぜなのか。

実はCCTVの放映権は許可制で、国営放送が番組を選択する制度になっており、抗日戦争ドラマは直ぐに許可がおりるうえに、国営TVが番組を良い値段で買い上げてくれる。だから視聴率が悪くても、中国の下請けプロダクションは「質の悪い」抗日戦争ドラマを量産するというわけである。

中国では9月の上旬の週には、抗日戦争・反ファシズム戦争勝利70周年の宣伝ウィークがスタート、バラエティー番組が一斉に消えて抗日ドラマを大量に放送していた。だが、都市部の視聴者層の興味はないに等しく、事実上の空振りに終わったようだ。こうした洗脳教育やTVの抗日ドラマに影響されるのは、農村部や子供たちだけである。

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