鬼怒川水害「二審勝訴」でも原告に笑顔ない事情 堤防整備のあり方を問題視したが、認められず
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ヘリコプターで1339人もが救助される様子をテレビで見た人も多いだろう。2015年9月10日、関東・東北豪雨で鬼怒川が溢水・堤防が決壊した茨城県常総市の鬼怒川大水害。
被災住民が国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が26日、東京高裁で言い渡され、一部地区について国に河川管理の瑕疵を認め、9人に対し計約2800万円の賠償を命じた。堤防決壊についての国の責任は認められなかった。水害訴訟では41年前の最高裁判決以降、国の勝訴が続く。一審の判決に続き、その流れに再び「待った」がかかった。
自然堤防と呼ばれる砂丘林の消失が氾濫水を招いた
常総市の面積の3分の1にあたる約40㎢に広がった氾濫水の主な流入口は2か所。鬼怒川左岸の利根川合流点から25.35kmと21kmの地点で、一審、二審ともこの2カ所をめぐり、住民側と国が争った。
最初に氾濫水が流れ込んだ場所は、常総市北部の若宮戸地先。当時、約1.6kmあった堤防のない区間(無堤区間)のうち、25.35km付近から上流(北)側へ約150mにわたり、川沿いの砂丘林が掘削されていた部分だった。
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鬼怒川大水害後、国は事業費約780億円をかけ、2021年度末までに約66kmの堤防を整備し、無堤区間はなくなった。
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