鬼怒川水害「二審勝訴」でも原告に笑顔ない事情 堤防整備のあり方を問題視したが、認められず
東京高裁判決は、「(問題の砂丘は)実態として堤防と同様の役割を果たしていたものと認めるのが相当である」と国の主張をしりぞけた。また、国が砂丘の高さや質(強度)に言及して河川区域指定により維持保全する要件を満たさないと主張した点について、「法令上の根拠はないというべきである」とばっさり否定。洪水の際に残っていた砂丘が崩れたりしていないことにも触れた。
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堤防整備のあり方を問題視したが、認められなかった
若宮戸の溢水地点から南(下流側)に4.35km、利根川との合流地点から21kmの三坂町地先(上三坂地区)は、堤防の越水決壊が起きた現場だ。若宮戸の溢水は早朝に起きたが、上三坂の堤防が決壊したのは12時50分ころ。逃げ遅れた人たちが家のベランダから、あるいはしがみついた電柱からヘリコプターで救助された。
控訴審で住民側は、国による堤防整備や過去の水害発生状況を詳しく分析し、堤防整備のあり方に異を唱えた。その主張を要約すると以下のようになる。
東京高裁判決は、「本件改修計画(上三坂地区の堤防改修計画)が格別不合理であるとは認めるに足りる証拠はなく、一審被告(国)の河川管理の瑕疵があったと認めることはできない」と住民側の主張を認めなかった。
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