鬼怒川水害「二審勝訴」でも原告に笑顔ない事情 堤防整備のあり方を問題視したが、認められず
大昔から川が氾濫するたびに砂が押し寄せられてできた微高地が川沿いに形成されていることがある。人工的に作られたものではないが堤防の役割を果たしているため、「自然堤防」とも呼ばれる。コンクリートで整備された堤防に隣接して微高地がある場合、河川区域に指定して掘削・整地などが行われないよう管理する方策が、河川法上、備わる。
国は「砂丘林が堤防の役割を果たしていたとは見ていない」
控訴審で国は、砂丘は砂ででき、高さも十分とはいえないため、「(削られた砂丘は)地形上堤防が設置されているのと同一の状況を呈している土地のうち、堤防に隣接する土地」には当たらない、と繰り返した。
また国は控訴審開始前に出した「控訴理由書」で、「自然堤防という用語」は、「土木用語の一つにすぎず、河川法上の概念ではない」と述べている。
一審判決が国の河川管理に瑕疵があった、とした最大の根拠は、国が2001、2011、2015年度に実施した「現況堤防高調査」。現在も残る砂丘林の高さが「現況堤防高」として扱われ、国が砂丘林を自然堤防としての役割を果たしている、と見ていたことを示した。
この点について、国は控訴審で「測量範囲のうち最も高い地盤の高さを測量して『現況堤防高』として測量結果をまとめたにすぎない」「(砂丘を)『堤防』と同様・同等の効用を持つものとして扱っていたとはいえない」と主張した。
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