「国語の勉強」が仕事でも役立つと断言できる理由 「人を動かす」ために必要なのは"言語化力"だ

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たとえば料理は、材料の皮を剝いたり切ったりするプロセスは面倒ですが、美味しそうなできあがりを想像すれば作る励みにもなります。

マーケティングの概念では、商品やサービスを売るには顧客にとっての価値(ベネフィット)から考えるという原則があります。

先述のゲームの例でいえば、子どもにとっての価値や目的がどこにあるのか、「直近のゲームの快楽」とその先に待っている「価値・目的」を並べて提示し、そのうえで今すべきことが何であるかを子ども向けに言語化するのです。

相手を納得させる言語化

アメリカの作家・講演家で、スピーチの権威であるデール・カーネギーは「人を動かすには秘訣がある。自ら動きたくなる気持ちを起こさせることだ」といいました。自ら動きたくなるには本人が「納得」すること。まずは事実を情報として知り、考えを巡らせ、そのうえで心から納得することができれば、そこからは自ら行動を推し進めていけます。

伝え方の方法としては、拙著『最強の言語化力』でもご紹介している「三角ロジック」がひとつの参考になるでしょう。子どもの長時間のゲームで悩む親御さんであれば、まずは主題(クレーム)を「小学生が長時間ゲームをすることは身体にも心にもよくないのでやめるべき」とします。

次に、ここが大事なのですが、具体的事実(データ)の収集については、専門書やネットなどの助けを借りることです。「全部を自分で言語化しないといけない」などと思いつめる必要はありません。

「あの選手がこんな風にいっているよ」「この本にそう書いてあった」「専門家がこんな話をしていたよ」などと、権威を伴う事実をデータとして提示してあげることで、より鮮明で力のある言葉として伝わります。

権威と聞くと「権力」とダブらせて即座にネガティブなイメージを持つ人もいますが、意味は明確に違います。

専門家や公的機関、あるいは子どもが憧れているスポーツ選手やアーティストの言葉は、ある種の「権威(authority)」です。この権威ある言葉を用いて理解を深めるという行為は、あらゆる知的活動において有効です。

権威とは各分野における知識と経験の集積であり、信頼や尊敬の対象となるものです。権威があるから国連の統計情報を人は信用するのです。

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