いよいよ“愛知・名古屋の独立”へ向けて動きだしたが……中京都構想の前途多難、目的不明の「独立戦略本部」

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いよいよ“愛知・名古屋の独立”へ向けて動きだしたが……中京都構想の前途多難、目的不明の「独立戦略本部」

愛知県と名古屋市を一体化する「中京都構想」の実現に向けて有識者が課題や目指す方向について話し合う「中京独立戦略本部」の初会合が、名古屋市本庁舎にて2月9日午前10時から1時間半ほど、開かれた。

昨年2月の県知事選、市長選で大村秀章知事と河村たかし市長の2人が共同で公約した目玉の政策が1年も経ってからようやく始動した格好。両者の対立もあり、本部員を選定してから7カ月以上もたなざらしとなっていた。当然、この間に2人の間で、「中京独立」の目指す方向を詰めた形跡はない。
 
 「中京」「愛知・名古屋」「東海地区」などさまざまな言い方をする大村知事に対し、「尾張名古屋共和国の独立」と語る河村市長。いったいどこまでが中京なのか、地理的な範囲すら不明確な、ぼんやりとした「構想」であり、「大阪の橋下徹市長が掲げる大阪都構想の人気に便乗しようとしているだけ」(名古屋財界首脳)という辛辣な意見も聞かれる。

結局、生煮えのまま第1回の会議に突入。会議は話芸が持ち味の両首長の威勢のいいあいさつに続いて、出席した10人の本部員(1人欠席)に1回ずつマイクが回っただけで、ほぼ時間は尽きてしまった。今後、どのような方向に収束していくのか、まったく見えてこなかった。

とはいえ、それぞれの本部員はなかなか興味深いことを言っている。各氏の発言のポイントを以下にまとめておこう。

■浅井慎平・写真家

私は東京におりますが瀬戸で生まれて、名古屋で育った。意見を求められれば意見を言いますが、そのためには知事と市長がどういうことを目指しているのか、お二人の考えをジックリと聞きたいという思いでこの場に来た。
 
 芸術・文化、科学の人に話が来るのはいつもすべてが終わってしまった後。それに対し、今回は最初に話が来た点はよかったと思う。私に最初に話が来たというのは、名古屋も変わったかなと思う。

■井沢元彦・作家

各藩が独立し競い合っていたのが江戸時代。そのうちの雄藩が明治の中央集権国家をつくった。それは時代の要請だった。しかし今、それがまた変わりつつある。

名古屋市はこれまでにもいいことをやっていると思う。「名古屋おもてなし武将隊」は、仙台城も春日山城もこれを模倣している。観光立国ということで非常にいいと思う。市長が主張している名古屋城の木造天守閣への建替計画には反対論はあるけれど、戦後の再建にだって反対論はあった。でも天守閣がなかったら名古屋はどうだったか。これから人口が減っていくのだから、名古屋城周辺を古い形の城郭の公園として広げていってもいいだろう。

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