いよいよ“愛知・名古屋の独立”へ向けて動きだしたが……中京都構想の前途多難、目的不明の「独立戦略本部」

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 懸念がひとつある。日本国全体の考え方として、喫緊の課題は、東京に一極集中していること。そこで首都機能の分散という話になるのだがこれを受け入れると中央集権への従属になる。そこをどう考えているのかは知りたい。素人考えを述べさせてもらうと、一部の機能を受け入れるだけではなく、すべての面でバックアップできるようになればいいと思う。

■奥野信宏・中京大学理事・総合政策学部教授

3つの論点を指摘したい。
 
 (1)「日本を引っ張る中京都」。東京は魅力的な都市。とはいえ上海やシンガポールより下。はたして名古屋はそうした魅力的な都市になれるかどうか。

(2)「広域都市圏としての中京都」。都市というのは広域圏として初めて成り立つ。高山は観光の役割がある。日本の都市は自分のところにすべて全部取り込もうとしてしまうが、それはよくない。都道府県を軸にしてもダメで広域に考える必要がある。
 
 (3)「民間が主導する都市圏としての中京都」。魅力のある街とは、ビジネスが効率的に行える街、住みやすい町、国際的に使える街、歴史・文化のある街だ。世田谷区が小学校を民間に開放し自由に使わせているが、名古屋でも民間を活用しなければいけない。

■小澤哲・トヨタ自動車副社長

ものづくりの視点から3点申し上げたい。(1)10年のスパンで、愛知・名古屋のものづくりを、韓国、中国としっかり戦えるように整備していかなければならない。ベンチマークとしては、10年後に、韓国、中国の企業がここに進出したい、直接投資をしたいと思えるような地域にしなければならないだろう。
 
 (2)10年以上先をにらんでの土壌作り。優位性を持った地域にならないといけない。海外、特に東南アジアからの優秀な研究者が、ここに来て働きたい、と思えるような場所にしないといけない。生産技術開発というものが製造業のキモ。技能五輪に代表されるような表彰制度などの環境づくりも考えられる。
 
 (3)新しい産業の創出。具体的にはスマートハウス、スマートコミュニティ。幸いその要素技術が非常に高いレベルで集約しているのがこの地域だ。ハードとエネルギーをマネジメントするシステムをメイド・イン・アイチという形で、つくりだせればすばらしい。

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