iPhone 16eでアップル製モデムを搭載した意味 垂直統合で大幅な省電力化を実現、進化の余地も拡げる

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アップル初となる自社製5Gモデム「C1」(写真:アップル)

アップルはこれまでエントリーモデルとして位置付けてきた「iPhone SE」シリーズを事実上廃止し、Apple Intelligenceに対応可能な基礎体力を備えた「iPhone 16」シリーズのベーシックモデル「iPhone 16e」を投入する。

アップルがiPhone 16e搭載“C1”で狙う新たな競争軸

製品ラインの整理が意図されているのは間違いないが、今回の発表における注目ポイントは端末よりも、アップル初となる自社製5Gモデムにある。アップル製品全体の競争力底上げを狙う、長期的な計画の一翼を担うと考えられるからだ。

実はアップルによるモデム開発の歴史は短くはない。2018年ごろに開発が始まり、2019年にはインテルから無線モデム開発部門を買収した。しかし開発は遅れに遅れ、今回が初めての採用だ。

しかし、彼らが自社製モデムにこだわるのには理由がある。

通信部分が内製化されることで、アップルは製品の細部に至るまで最適化を施す自由を手にし、それを自社のすべての製品ラインナップに広げ、機能性や使いやすさを高める提案をしやすくなるからだ。

これはかつて同社が「Aシリーズ」や「Mシリーズ」の自社SoCを発表し、業界の常識を覆してきた流れとも一致している。

今回の「iPhone 16e」に搭載された自社製モデムは、「Apple C1」とブランドで総称されるワイヤレス通信システムで実現されている。

いわゆる“Appleシリコン(アップル製半導体チップ)”ではあるが、信号処理を担うベースバンドチップ、無線通信用アナログ回路であるRFトランシーバ、さらにはそれらをつなぐソフトウェアを含んだ複合体であり、単一のチップではない。

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